
久しぶりに面白い小説を読みました。
『ノースライト』 横山秀夫 著(新潮社)
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主人公は一級建築士の青瀬。かつては著名建築家アトリエに所属していたものの、バブル崩壊と共に落ちぶれ、今は友人の設計事務所で飯の種としての設計をこなす日々。
そんなある日、とある施主から設計依頼を受ける。要望はひとつ「あなたの住みたい家を建ててください」。願ってもない依頼に青瀬は設計に全力を傾け、そして後にその家は彼の代表作となる。その特徴は、南側を閉ざし北側に大きく開かれた開口部(North Light)にあった。
しかしその家には、ついぞその施主が入居することはなかった。あんなに喜んでいたというのに…。施主はどこに消えたのか?そして住宅に残されたのは一脚の椅子。鍵を握るのは、巨匠建築家ブルーノタウト。その謎を追ううちに、青瀬は意外な事実を知ることになる-
◇
はい、もう読みたくなったでしょう?笑
けしてネタバレではありません。これは物語のほんの序章に過ぎないのです。本題はここから始まってゆきます。
著者は「クライマーズハイ」「半落ち」などで知られる横山秀夫さんです。さすが圧倒的な筆力で引っ張ります。執筆のために相当関連書籍を読み込んだことでしょう。建築好きなら、ブルーノタウトのくだりもたまらないでしょうね。
ただ少しだけ辛口のコメントをするとすれば、建築関係者はちょっとだけストレスかも?微妙に違うんですよね、実情と。建築用語の使い方とか。あ~そういう言い方はしない!とか笑。例えて言うと、刑事ドラマを見ている刑事みたいな。
でも一般の人にはそんなマニアックな領域はどうでも良いでしょうから、普通にぐいぐい引き込まれてしまうことと思います。
作中で主人公の青瀬が、「なぜこれまでタウトを避けてきたのですか?」と訊かれるシーンがあるのですが、う~ん、タウトは私も避けてきたかも。ブルーノタウトのこともちょっとだけ詳しくなる本です。建築関係者も是非ご一読を!

昨日のJIA住宅部会納会において、記念すべき第一回住宅部会賞に、建築家の渡辺武信先生より「渡辺武信賞」を頂きました。名誉ある賞をどうもありがとうございました!
「より成熟した作品は他に譲るとして、僕は関本さんの住宅が好きだ」と率直なお言葉を賜り、本当に嬉しかったです。
提出したのは「路地の家」で、路地に開くという都市的観点でのプレゼンをしたつもりでしたが、本好きの渡辺先生には、高所の本をいかに取り出すかという仕掛けの工夫がおもいのほかアピールしたようで、個人的には一番力を入れたところを拾い上げて頂いたことが励みになりました。
審査員の皆様、また部会メンバーの皆様にもあらためて御礼申し上げます。ありがとうございました!



東京ステーションギャラリーでのアアルト展が、いよいよ今日から始まりました!昨日は関係者の特別内覧会があり、一足先に足を運んできました。
内容は葉山、名古屋と同じですが、東京展素晴らしく良いです!葉山行った方は是非東京もお勧めします。なんといっても、赤レンガの展示空間がアアルトにぴったりなんです。
えっと、東京より葉山の方がお勧めだって言ってた?言ってませんよ。
アルヴァ・アアルト もうひとつの自然
会期:2019年2月16日(土)- 4月14日(日)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201902_aalto.html


世界の果てまでイッテQ。フィンランドロケは珍しくないのですが、今回は思わず声をあげました。これはアールト大学(旧ヘルシンキ工科大学)の屋内体育館ですね?
もちろん設計は、アルヴァ・アールト。留学中もここには足を踏み入れたことはありませんでした。旅行者もまず足を運ぶことはありません。でも実は知る人ぞ知る名建築なんです。内部の映像はとても貴重だと思います。
ちょっと常識破りの木造大架構ですね。すげーなと、ちょっと家族とは違うところに食いついてしまいました。
以下は、SADIでもお世話になっている平山達先生のアーカイブページ。貴重なこの体育館の撮影動画が見られます。
https://hokuouzemi.exblog.jp/1900504/

住まいの環境デザインアワード2019にて、
我々の設計した「路地の家」が審査員特別賞に選ばれました。
http://www.gas-efhome.jp/prizewinner/index.html
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正直上位入賞を狙っていたので、優秀賞以上の賞が取れなかったことがとても悔しく、ヘコんでいたのですが、本日発表となった受賞者の顔ぶれを見て、思いのほかレベルの高いところに食い込んでいることが分かりました。悔しいけどまたがんばろう。
このアワードは広く「住まいにおける環境とは?」という定義を問い直すもので、温熱や気密性能だけでは計れない建築の持つ魅力やポテンシャルにもフォーカスをあてたものだと昨年のシンポジウムを聞いて思いました。
路地の家はそこにある「都市環境」を引き受けて、街に大きく開いた住宅です。一方でHEAT20 G1グレード相当の断熱性能を兼ね備え、通風や採光といったあたりまえの住宅性能は損ねずに、住宅の快適性とデザイン性を両立させています。
性能の先にあるものはなんだろう?という我々の近年のテーマが、一定の評価を得たものと受け止めたいと思います。また、このような住宅を設計させて下さった建て主さんにも心より感謝致します。
○路地の家
https://www.riotadesign.com/works/17_roji/#wttl
