author
sekimoto

category
> 仕事
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



川越で進行中の現場,FPの足場が外れました.
ギングロはよくあるのですが,黒の板金を使ったのは初めてです.クライアントも悩みに悩み,”川越らしさ”の表現として最終的にこの色を選ばれました.正解だったと思います.とても存在感があって,何か荘厳な感じすらします.

クライアントがこだわられた点がもう一つあります.それは板金が持つ”べこつき”です.ほとんどのクライアントは「なるべく”べこつき”がないように」とおっしゃいます.ところがこのクライアントたってのご希望は,「なるべく板金ならではの”べこつき感”を出して欲しい」ということでした.

今回とても腕の良い板金屋さんだったこともあり,「べこつかせてくれ」と要望を出すのがどれほどの無茶振りであったことか.悩んだ末に板金屋さんが出してくれた提案は,板金材の厚みを薄くするということでした.通常0.4mmの材を使うところを0.35mmに落とし,あとは通常通り張ってもらいました.

この板金屋さんの神業のような仕事と相まって,この表面に表出した自然な”べこつき感”.雑な仕事によるべこつきではなく,無駄のない仕事が織りなす最高の?べこつき.板金仕上げにおける,究極のツンデレ表現と名付けたいと思います.


ところでこの住宅,中庭住宅のため,外部に大きく開いた窓が少ないことが外観に不思議な印象を与えています.あともうひとつ不思議な印象を与えていることがあります.それは「低さ」です.

この住宅は最高高さが,わずか5.6mしかありません.室内の過半の天井高は建築基準法で定められた最低天井高である2.1m程度に抑えられています.2階の階高は実に2.4m.驚異的な低さです.普通の住宅なら,勾配屋根の一番低いところで最高高さが決められているようなものかもしれません.

これもローバーミニや,フィアットパンダといった小型車を愛するクライアントの美意識によるものです.かくいう私も地を這うように低い空間は好みでもあり,おのずとクライアントとの合言葉は「低く,低く」となりました.


ところで,外部の足場は外れましたが,内部はまだまだ・・
内部の大工さんはなおも丁寧に丁寧に仕事を続けて下さっています.


今日現場に行くと,バルサ材で見慣れないパーツを作っていました.何かと思えば木栓.今回収納部は原則としてシナベニヤによる大工造作になるため,ビス頭を隠すために木栓をするのですが,普通の木栓だと色が濃いのでその栓が目立ってしまいます,なるべく目立たないように,と私が言ったこともありますが,バルサ材をカッターで削り出し,ビス穴に合った木栓を黙々と作っていたのでした.(ちなみにこの大工さんの趣味は,航空模型づくり)

工程遅延・・工程遅延・・・

私の頭の中でエンドレスリピートが止まりませんが汗,この大工に気が済むまで仕事をさせなくてはいけないという使命感すら覚えてきます.証拠にどこにビスを打ったのか注意して探さないと見つからないほど.クライアントにはご迷惑をおかけしていますが(滝汗),じっくりと本物の仕事をして頂きたいと切に思うのでした.


14. 12 / 21

ニアミス

author
sekimoto

category
> 建築・デザイン
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



今日は友人建築家,布施木綿子さんのオープンハウスへ.彼女は大学の同級生でもあります.

学生時代から彼女とは研究室も同じ,同時期にアトリエに就職し,同時期に退職し,同時期に海外に出て,同時期に独立しました.私の住宅に欠かせない造園の湊さんも彼女の紹介でした.彼女は私にとって最も大切な親友であり,同じ道を歩む同志でもあります.

今回の住宅は日野市豊田.そう,つい最近まで私がやっていた「トンガリの家」の現場の近くなのです.もちろんこちらの造園も同じく湊さん.そして今現場をやっている「西荻の家」のすぐ近くでも彼女の現場が進行中.しかも同じ工務店の同じ監督が見ているという・・。

過去には私のクライアントの,妹さんの家を彼女が設計したなんてこともありました.はたまた,クライアントが私以外に検討している建築家がたまたま彼女だったり.なんというニアミスぶり.私の領域(テリトリー)に入ってこないで!とは彼女の弁ですが,いやいやそっちこそ.

こうして彼女とは,この先も腐れ縁が続いてゆくのでしょう.

author
sekimoto

category
> 子ども
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48


いつだったか新聞の広告で,アイスクリーム協会のクロスワードパズルの懸賞があった.子ども向けで面白そうなので,やってみたら?と勧めたら,本人もその気になって真剣に解きはじめた.(といっても,アイスの商品名を埋めていくだけで簡単に解ける)

当たるかなあ?
そう言いながら,そのまま投函しようとしている息子に声をかける.
「当たる確率を上げる方法を教えてあげようか」

いいか,そのまま出したらだめだ.どうしても当てたかったら,その思いが伝わらなくてはならない.見て見ろ,余白があるだろう?ここにはアイスの絵でも描いたらいい.そして願いを込めてポストに投函する.わかった?

その絵がまたイイ味出してまして.
写真撮っておけば良かったと今では後悔しています.

だって,ほら.

author
sekimoto

category
> 生活
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48



幸せな朝にコーヒーがあるかは定かではないが,おいしいコーヒーからはじまる朝は間違いなく幸せである.私の場合.

コーヒーをなめてはいけない.正しい手続きで淹れたコーヒーはおいしい.これはもう人生の真実というくらい間違いないのである.正しい手続きとは,沸かしたてのお湯を,挽きたての豆に落とすことにほかならない.

人によっては沸かしたてはよくない,およそ95度が適温云々というのがあるらしいが,そんなことはどうでもよい.私にとって大切なのはむしろ豆なのだ.それも挽きたてであること.だから毎朝豆を挽く.

挽きたての豆にお湯を落とすと,豆がシュワシュワッと炭酸のように膨らんでゆく.これはあらかじめ挽かれた状態の豆と比べれば一目瞭然.挽かれて時間の経った豆は,お湯を注いでも全く膨らまない.いつまでたってもぺちゃんこ.いじけてヘコんだクレーターがそこに出現するのみである.味も全然違う.これはもう同じ豆でもこうも違いますか,というくらい.

そして分量である.お湯も豆も,計量カップやスプーンで正確に測る.しかしそこは素人だから,その日の気分や,豆のいびつさ,表面張力分くらいの違いでお湯や豆の量なんて変わってしまう.するとどうだ.変わるのだ,味が.本当に変わる.こだわりのラーメン屋が言うところの「お湯の一滴でスープは変わる」は本当なのだ.

毎日のことだから,今では私もカップに注いだ瞬間にわかる.光を透かした色で,「しまった,今日のは薄い」とか「今日のはイケる」という具合に.そして毎朝一喜一憂する.

私の朝の10分は,欠かさずこの手続きのために費やされる.毎朝二人分のコーヒーを淹れる.何日かに一度,これはもう奇跡のようにおいしいコーヒーが入るときがある.その時の幸せ感と言ったら!

おいしいコーヒーからはじまる朝は間違いなく幸せなのだ.
これはもう人生の真実というくらいに.

author
sekimoto

category
> 思うこと
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48


よく設計事務所との家づくりという選択肢がもっと広まれば良いのにという声を聞く.もう少し言うと,設計事務所との家づくりが世の中の家づくりの主流になるべきだと考える人もいる.でも,私はそうは思わない.設計事務所に設計を頼むという選択肢は,これまで通り少数派で良いと私は思う.

そんなことを言うと,関本さんのところは仕事がいっぱいあるからそんなこと言うんでしょう?と疎まれるかもしれないけれど,仕事があろうとなかろうと,それは関係ない.

一言で言えば,設計事務所に頼もうという人は設計事務所にしか頼まないのだ.私はそう思う.ハウスメーカーやその他の選択肢で満足する人は絶対に設計事務所には頼まないし,頼まれてもお互い不幸になると思う.

もしかしたらその逆もあるかもしれない.設計事務所でしか満足できないのに,ついうっかりそれ以外の選択肢を選んでしまった人.こういうミスマッチに気づけなくて不幸になるパターンは,家づくりに限らず,結婚就職その他,いろんな場面であるだろう.

でも私はそういう人は救えないし,救おうとも思わない.残酷なようだけれど,うちのクライアントの真摯さ,まっすぐさを思うと,その方達は家族や自分の人生と向き合う真剣さに欠けていたのだと思わざるを得ない.

設計事務所に辿り着くまでには,程よいハードルが必要だ.意を決して飛び込む.そのくらいでちょうど良いと私は思う.飛び込むためには覚悟が必要だ.覚悟もしないで,大事なことを安易に決めるから間違いが起きるのだ.私はそう思う.