住宅の設計に向かうモチベーションには3つの段階があります.
第一段階は,お施主さんのご要望を叶えること.
最初の面談やプロセスで聞き取ったお施主さんのご要望を,注意深く設計に落としてゆきます.これは仕事として当然であり,最低限の作業とも言えます.これは設計事務所のみならず,ハウスメーカーでも設計施工の工務店でも同じことが行われているはずです.
第二段階は,お施主さんの潜在的な欲求に応えること.
大概の場合,お施主さんは言葉にならない言葉を持っていらっしゃいます.言語化されない,潜在的な欲求をいかに拾い上げて設計に盛り込むか,というのもまたプロには求められることです.逆にそこまでやってはじめてお施主さんに満足して頂くことができるのだと思います.
この第二段階までをきちんと踏まえてやっていれば,まず間違いなくお施主さんからは感謝されるし,結果的にも良いものができます.良心的な設計士さんということで評判も立ち,仕事も途切れず事務所経営もうまくいくはずです.だから本当はそれで良いのだと思います.思いますが,私の心の中ではまだ満たされないものが渦巻いているのです.
第三段階は,建築的なテーマを見いだしたり,自己表現を求めること.
当然のことながら,これは第二段階までは踏まえた上での話です.これは必ずしもお施主さんからは求められていないことです.ある意味余計なことかもしれません.この第三段階に手を出すと,いろんな不都合が生じることがあります.お金が余計にかかったり,利便性が悪くなったり,メンテナンスにも手間がかかるようになることもあります.
おそらくは,自分たちの要望以外のことをされたり,余計にお金をかけて利便性が失われるなんてとんでもないと考える人もいると思います.だから我々はお施主さんの行動や言動をじっと観察して,そういうことに理解を示して下さる方かどうかを常に慎重に判断しています.
繰り返すようですが,住宅の設計は第二段階まででも十分だと思います.第三段階まで進むなんて無駄の極致です.けれどもその領域に設計を進めると,その建物は単なる住宅から「建築」と呼ばれるようになります.我々建築家が本来生業にしているのはこの「建築」を作ることなのです.
でもいくらお施主さんに理解があっても,家庭の事情や,周辺環境や,ご予算によってはそれが叶わないことも多くあります.建築専門誌を賑わす一線の建築家たちは,そういったステージをどのように進めているのでしょう.進んで建築家と心中しようという奇特な方々を引き寄せる才能がなせる業なのか,はたまた無理心中を計るのか・・・.
穏やかな話ではありませんが,少なくともうちの事務所では無理心中は致しません.すべてはお施主さんの心意気次第.しかし,現在も我が事務所にご依頼下さった”奇特な”(失礼!もとい,素晴らしい)お施主さんとの間には「建築」が生まれようとしています.
第一段階は,お施主さんのご要望を叶えること.
最初の面談やプロセスで聞き取ったお施主さんのご要望を,注意深く設計に落としてゆきます.これは仕事として当然であり,最低限の作業とも言えます.これは設計事務所のみならず,ハウスメーカーでも設計施工の工務店でも同じことが行われているはずです.
第二段階は,お施主さんの潜在的な欲求に応えること.
大概の場合,お施主さんは言葉にならない言葉を持っていらっしゃいます.言語化されない,潜在的な欲求をいかに拾い上げて設計に盛り込むか,というのもまたプロには求められることです.逆にそこまでやってはじめてお施主さんに満足して頂くことができるのだと思います.
この第二段階までをきちんと踏まえてやっていれば,まず間違いなくお施主さんからは感謝されるし,結果的にも良いものができます.良心的な設計士さんということで評判も立ち,仕事も途切れず事務所経営もうまくいくはずです.だから本当はそれで良いのだと思います.思いますが,私の心の中ではまだ満たされないものが渦巻いているのです.
第三段階は,建築的なテーマを見いだしたり,自己表現を求めること.
当然のことながら,これは第二段階までは踏まえた上での話です.これは必ずしもお施主さんからは求められていないことです.ある意味余計なことかもしれません.この第三段階に手を出すと,いろんな不都合が生じることがあります.お金が余計にかかったり,利便性が悪くなったり,メンテナンスにも手間がかかるようになることもあります.
おそらくは,自分たちの要望以外のことをされたり,余計にお金をかけて利便性が失われるなんてとんでもないと考える人もいると思います.だから我々はお施主さんの行動や言動をじっと観察して,そういうことに理解を示して下さる方かどうかを常に慎重に判断しています.
繰り返すようですが,住宅の設計は第二段階まででも十分だと思います.第三段階まで進むなんて無駄の極致です.けれどもその領域に設計を進めると,その建物は単なる住宅から「建築」と呼ばれるようになります.我々建築家が本来生業にしているのはこの「建築」を作ることなのです.
でもいくらお施主さんに理解があっても,家庭の事情や,周辺環境や,ご予算によってはそれが叶わないことも多くあります.建築専門誌を賑わす一線の建築家たちは,そういったステージをどのように進めているのでしょう.進んで建築家と心中しようという奇特な方々を引き寄せる才能がなせる業なのか,はたまた無理心中を計るのか・・・.
穏やかな話ではありませんが,少なくともうちの事務所では無理心中は致しません.すべてはお施主さんの心意気次第.しかし,現在も我が事務所にご依頼下さった”奇特な”(失礼!もとい,素晴らしい)お施主さんとの間には「建築」が生まれようとしています.
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