予約なしには見れない宮内庁管理の庭園と山荘。約370年前に後水乃尾上皇により造営された皇室の別荘、と聞いてもっと浮世離れした近寄りがたいものを想像していた。

ところが下離宮を抜けて門をくぐると、そこにあったのは棚田だった。思わず拍子抜けした。その畦道を抜けた先に上離宮がある。そこにも絢爛な宮殿があるわけでもなく、素朴な作りの休憩所や池があるのみ。

一方では遠く東山の山々や京都の街並みを壮大な借景の中に取り込み、近景の池や棚田の風景とともに、そこに壮大な宇宙をつくっている。




雅というのはこういうことを言うのだろう。素朴に見える建屋にも隅々まで美意識が行き届いている。その見識と文化度の高さに唸らされる。しかも造営にかけられた時間はわずかに3〜4年だという。それが300年以上も残るというのは奇跡としか言いようがない。

後水乃尾上皇というのは、幕府に抵抗する反体制の芸術家であると同時に建築家、そして一流のアートディレクターでもあったのだろう。

江戸時代初期に享年84歳、こちらも尋常ではない。