少し前に、うちの事務所の元スタッフでもある柴秋路くん(akimichi design)から連絡がありました。彼が改修設計を手がけた「北鎌倉の舎」が、エクスナレッジから出る新しいムック本に収録されるとのこと。しかも巻頭に掲載になるということで彼もとても喜んでいました。そんな掲載誌が昨日手元に届きました。

『時を重ねる家』
https://amzn.asia/d/iry40HY

この「北鎌倉の舎」は竣工当時私も見学させて頂きましたが、彼らしい美意識に貫かれた、丁寧な素晴らしい仕事でした。本書を手に取ってやはりと思ったのは、彼だけでなくその建て主の美意識も素晴らしいということ。

一般的には、建て主から見たら住まいは設計者のセンスに委ねられると思われがちですが、私からすると建て主は触媒のようなもので、その化学反応によって設計者の能力は何倍にもなりますし、なんなら違う物質にすらなってしまうものです。

引き渡されたのちに、ご自身で手を入れられたというお庭や、置かれている小物すべてに愛着と美意識が感じられ、柴くんは素晴らしい建て主と出会ったのだなと本当に嬉しく思いました。

柴くんはもう10年以上も前にうちに在籍していたスタッフです。出会いは私が手がけたカフェの常連さんだったということから、カフェのオーナーが引き合わせてくださったのでした。

初期の仕事でも彼との協働は数多くありますが、当時最も苦労した仕事のひとつであった築70年超の住宅再生「池上の家」は、私にとってもそうですが、彼にとってもその後改修の仕事を多く手がけてゆく上でベンチマークになったのではないかと思います。その後彼とも「あれを経験したら、もう怖いものはないよね」とよく笑いあったものでした。

うちから独立して事務所を構えるスタッフは多くいますが、彼は早くから”リオタデザイン”から抜けだし「自分らしさ」を確立していったように思います。私は彼を高く評価していましたが、なかなか継続的な好仕事に恵まれずに苦労している様子も見ていましたので、今回の掲載を本当に自分のことのように嬉しく思っています。

うちから独立したスタッフたちは、経歴にリオタデザインの名前を誇らしく冠してくれているようです。
過去にある独立したスタッフからは「しばらくはリオタデザインの名前で食べていきますので、関本さんももっと活躍してください!」と言われて、おまえの実力じゃないんかい!とツッコんだことがあるのですが、これからは「最近活躍している○○って、あれうちの元スタッフなんだよね」と積極的に弟子自慢をしてゆきたいと思います。笑

柴くん、もっと有名になって僕を食べさせてくださいね!

*
柴 秋路(あきみち)|akimichi design
https://akimichi-design.com/

.