現場でいつも思うのは、監督は職人の翻訳者なんだなということ。職人と監督の会話は未だに何を話しているのかよくわからない。
職人さんが言っていることも、私はいつも意味半分くらいしか理解できなくて、なかば勘で相槌打っている。「そうですね、大丈夫です」なんて言っておきながら、内心ドキドキ。まるで外国人との会話みたい。
そこで監督がすっと入ってくると、“現場語”でゴニョゴニョっと何か言ってまとめあげちゃう。日本語のようにも聞こえるけれど、でもやっぱりよくわからない。監督は私にとっての専属通訳みたいな存在だ。
そして我々は建主さんの翻訳者なんですね。現場では、建主さんはこの現場状況をわかっていないだろうなという場面があって、そんな時我々がそこにすっと入って仲立ちする。そんな時、我々は建主さんにとっての専属通訳になる。
英語なんてろくにできなくても海外旅行はできるように、設計監理者がいなくたって家は建つ。言葉を越えた理解や共感はきっとある。でもやっぱり翻訳者は大事。わかり合えない両者を結ぶ重要な橋渡し役なのだ。
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