21. 05 / 09

受け身と不惑

author
sekimoto

category
> 仕事
> 思うこと


歳を取るとどんどん楽になる、という話を最近よくする。

自分史上、たぶん一番楽じゃなかったのは20代。大変さでは、たぶんあれがピークだったんじゃなかろうか。といっても、徹夜が続いていたとか休みがなかったとか、そういう大変さではなかった。日々、悩みと不安しかなかった。あれはきっと、「受け身」がうまく取れなかったからなのだろうと今になって思う。

柔道などでは、投げられた際に怪我をしない体勢というものがある。それが「受け身」だ。これは頭で考えるものではなく、投げられた際に反射的に体が動くものでなくては意味がない。野球で言うところの「素振り」みたいなものかもしれない。

相手に投げられるという前提で心構えが出来ていると、一瞬の衝撃はあっても怪我はしなくなる。そのうちに頭で考えなくても、反射的にどうすれば良いかわかるようになる。体が自然に動くようになる。

今の私は、たぶん20代のあの頃よりも10倍くらい忙しい。抱えている案件も多いし責任も背負う立場だ。それなのに私はどんどん楽になってゆく。優秀なスタッフのおかげもあるけれど、私が「受け身」を取れるようになったことも大きいと思う。

今私は、自分にとって一番違和感のない選択肢を、瞬間的に、そして直感的に選ぶことができる。そしてそれを決定できる権限もある。ぶれない、悩まないという人生はなんと楽であることか。将来こんな境地が待っていようなんて夢にも思わなかった。

40を不惑の歳という。昔の人はすごいな。40の頃なんてまだまだだった。私は50にして、ようやく不惑の歳を迎えようとしている。