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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと


家具建具でいつもお世話になっている藤沢木工所の藤沢さん品田さんが来社くださり、直近の住宅現場の家具について打合わせた。

先に刊行された拙著にも書いたのだけれど、うちは工務店が変わっても、可能な限り同じ家具・建具業者さんを使うようにしている。もう少し書くと、藤沢さんにお願いするようにしている。理由はひとつで、信頼しているからだ。

同じように、板金は新井勇司さんに、造園は小林賢二さんにという具合に、頼む人が固定化しつつある。工務店も固定化してきた。もうすぐでドリームチームが出来上がる。

建築は人がつくる。当たり前のことだけれど、当たり前じゃない世の中だ。いまだに家を「買う」という表現をする人がいる。家は買うのではない、作るのだ。誰が作るのか?職人さんが作るのである。

職人さんは光の当たらない職業である。建物が完成したら、その賞賛は設計者が一身に受ける。嬉しくも、いつも申し訳ない気持ちになる。職人さんにとって一番嬉しいことは何か?それは自分の仕事が認められることだ。

だから職人さんの素晴らしい仕事には、なるべく口に出して感謝の気持ちを表したい。そして指名したい。あなたと仕事がしたいと。素晴らしい図面を描くことも大事だけれど、ものづくりでもっと大事なことはそういうことだ。

藤沢木工所の職人が、近所の本屋に行ったら私の本が売っていなかったとぼやいていたそうだ。なんだか嬉しい。自分たちの仕事が本になったというのは誇らしいことだと思う。

我々の図面は細かい。でも藤沢さんの仕事はもっと細かい。そこでようやく釣り合う。誰とでもじゃない。釣り合わない人とは仕事ができない。

建築は人がつくる。相性の良い者同士が集まってつくる。建主さんも我々と相性が良い人だけがいらっしゃる。そうやって作られるものは、最高のものしかできない。難しいようで簡単なこと。そう思いませんか?