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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと


先日テレビをつけると,たまたまNHK教育(ETV)の「SWITCHインタビュー・達人達」という番組で,アートディレクターの佐藤可士和さんと放送作家の小山薫堂さんの対談をやっていた.番組も半ばくらいから見始めたのが悔やまれるくらい,とても刺激になる内容で,再放送しないかなとひそかに思っている.

その中で佐藤可士和さんが語っていた内容で,印象に残ったことが二つあった.

ひとつは「答えはすでに相手の中にある」ということ.
自分はそれを引き出すだけ.自分の中からひねり出すものではない.

もうひとつは「打合せではメモを取らない」ということ.
打合せには手ぶらで出かける.帰ってきて覚えていることだけが大切なこと.

これにはとても共感を覚える.
ひとつめの「すでにある」もいつもそう思う.私という存在は何なんだろうと思うくらい,いつも相手の中から引き出したいと思っている.それはクライアントであったり敷地であったり,頑固な役人相手のことだったりするかもしれない.私が全くオリジナルで考えたことなんて,もしかしたらないんじゃないかと思う.

もうひとつの「メモを取らない」ということ.これはなかなか真似ができないのだけれど,この感覚はよくわかる.私もクライアントと打合せをしているときはメモを一応取っているのだけれど,これを読み返すということをあまりしない.プランニングを考えているときも,要望書はあまり読まない.大体あんなこと言っていたな,という話の大枠だけで捉える.そうしないと大きな筋を読み違えてしまうような気がするからだ.

余談だけど,現場監理にもついうっかり何も持たないで行ってしまうことがある(それでスタッフに呆れられる).でも図面は現場にもあるし,スケールは監督が持っている.そもそも図面の内容はすべて頭に入っているので,私に必要なのは鉛筆一本だけでいい.あとはコピーの裏紙でもあればその場で納まりを走り書きできる.三角定規がなくても手が覚えている.だからもしかしたら現場も手ぶらで良いのかもしれない.

なかなか面白かった.次回は隈研吾さんx林真理子さん.
隈さんか.いやなんでもないです.

『SWITCHIインタビュー・達人達』
http://www4.nhk.or.jp/switch-int/