この春3人目のオープンデスクは、東洋大学の浦愛海さん。いつもは設計課題を出してエスキスするのだけれど、今回は実験的に造形演習課題を出題することに。

一枚の紙に、切る、折る、曲げるといった単純操作を加えるだけで出来上がる造形を、最終的にはスケールや空間認識にまでつなげる。この課題の良いところは難しいことを考えずに無心になって取り組めるところ。コンセプト教育の弊害か、直感に従えばわかることを、こねくり回しすぎて迷路に入ってしまう学生のいかに多いことか。

コンセプトや奇抜な形を無理やり捻り出すのではなく、思いもよらない形の発見から、そこに“空間のタネ”を見出してもらいたい。ルールの発見は建築のはじまりにつながる。

浦さんはとても勘の良い子で、こちらの意図通り初日からどんどん形を生み出してくれた。あっという間にダンボール箱がいっぱいに!

行き詰まったら手を動かす。無心でやれば形が見える。新年度からの大学でも、今回学んだそんなブレイクスルーを活かしてほしい。






この春二人目のオープンデスクは、東京電機大学2年生の河野日奈香さん。去年の夏に応募があったのですが、定員オーバーのため春に再応募下さった学生さんです。

過去の大学課題を見せてもらうと、造形の作り方にセンスがあり、優秀な学生さんであることがすぐにわかりました。

ただ一方で、建築の作り方や考え方に一貫性が持てず、考えているうちに迷子になってしまうということに本人も悩みと課題を感じているようでした。

建築のスタディの方法に正解はありませんが、私流のやり方は、難しく考えすぎず、諸条件を整理しながらとにかく手を動かし、無意識の手の導きから計画の軸を発見していくというもの。

それはあたかもオリンピックのアスリートが、日々の練習で積み重ねたルーティンを自分の血肉にしていくような作業に近いかもしれません。天才ミュージシャンのように、何もしないで「曲が降りてくる」なんてことはないのです笑

大学とはまったく違う教え方に最初は戸惑っていたようですが、次第に線に生気が乗るようになり、最後は彼女らしい造形センスを感じさせる模型まで作ってくれました。しかも、このために購入したエスキス帳もほぼ使い切ったという。すごい!

新年度は3年生とのこと。頭と手の動きを連動させるつもりで、これからもエスキスを続けて下さいね!お疲れさまでした。


この春も多くのオープンデスクの申込みがありました。募集をかけているわけではないのですが、、

この春のトップバッターは、明治大学2年生の宮崎誠太くん。朴訥とした風貌からどんな子だろうと思っていましたが、結果的には過去一番のキャラの立った学生さんでした笑。人を笑わせようと冗談を言っているわけではないのに、その真面目な言動や行動がとにかく面白い。

たとえば初日に言い放ったのは「はじめて埼玉に来ました」。神奈川に住んでいるのに、これまで埼玉県に足を踏み入れたことがなかったとのこと。そんな子いるんだ!?笑

ほかにも指導で話したことを、翌日に愚直すぎるくらい愚直に実行していたりして、そのまさかの行動の数々に毎回ほっこり。私もすっかり気に入ってしまいました。こういう素直な子は、実力も伸びますが、まわりから可愛がられるだろうなと思いました。

学校の課題では締切などに間に合わず、いつも遅刻してしまうのが悩みと語っていた宮崎くん。このオープンデスクでは「時間を守る」をテーマにしていましたが、毎日きっちりと約束のエスキース時間をまもり、最後もちゃんと内容を揃えて時間通りに発表してくれました。もうこれだけで花丸の◎です。

春休みは後期から始まる設計課題に備えたいという、これまた真面目な誠太くん。後期の伸びしろにも期待しています!


この夏最後のオープンデスクは、日大理工学部2年生の杉山和香奈さん。

今年はなぜか不思議なご縁の学生さんが多かったのですが、杉山さんも先週の酒井さんに引き続き志木市内在住の学生さん。

杉山さんとの出会いは、3月に開催した入間市のS/Yのオープンハウスに来てくれたこと。その時の立ち話が面白かったのですが、彼女は中学生の時に市内にリオタデザインという設計事務所があることを知り、そこから建築の道に進むことを決意、大学も私と同じ大学に入ったという筋金入り?の経歴の持ち主。

さすがにそんな学生ははじめてでしたが、偶然にも先週来ていた酒井さんと同じ中学校で、同じ部活の後輩だったことも発覚!こういうこともあるんですね。奇しくも二週続けて近所の学生さん(自転車通い)ということになりました。

さてそんな杉山さん。とても真面目な学生さんで、大人しい性格でありながら意見や感想を求めると少し考えながらもしっかり自分の言葉で意見が言える芯の強いしっかりした子でした。

私はオープンデスクといえども、学生には厳しいことも言うのですが、彼女もその洗礼を浴びつつ、言われたことをしっかり理解してそれを次は改善してくるなど学習能力の高さも感じました。

いくつか参考書籍やうちの図面を渡すと熱心に読みこみ、スケールを考えなさいと話せばコンベックスを片手に熱心に中庭の寸法を測ったりしている姿も印象的でした。



不器用なところもあり、言葉が出てこなくてもどかしくしていたり、表現したいことをうまく表現出来ずに悔しがったりと、学生さんらしい初々しさもありましたが、まだまだ2年生ですしね。

地道にスタディや努力を積み重ねることで、そのうちきっと頭一つ抜けた世界が見えるようになってくれることと思います。それでも最後にはとてもクオリティの高い案にまとめあげ、そのポテンシャルの高さには感心しました。


これはオープンデスクに来た学生さんすべてに共通する指導ですが、大学の課題では実際の発注主のことやリアルな制約などは省いて、自由に学生に考えさせるというところに重きが置かれていますが、実務の設計では自由に考えられる領域なんてごくわずかです。

ただそれを創造性を縛る制約と捉えるか、それを逆手にとって創造性を発揮するかでその結果は大きく異なるものになります。実務では後者の能力が大きく試されるのです。

そのため、大学では言わないような建て主の使い勝手や心理を想像するという点に多くの時間を割いて繰り返し指導しました。きっとみんな戸惑っていたことと思いますが、これが社会に出て建築の仕事をする上では一番大切なことなのです。

今回の杉山さんも、最初は大学では言われない細かいことをたくさん言われてびっくりしたようですが、何度もエスキース帳に繰り返しスケッチを描くことで、そこにどういう問題があるのかということに気づけるようになってきたとのこと。

大学でよく言われる「スタディしなさい」の意味がこれまでよくわからなかったそうですが、こういうことかと最後に話してくれたことが嬉しく、この体験は彼女にとっても大きな収穫になったことと思います。

この夏に参加してくれた3人の学生さん、みなさん大変お疲れさまでした。この一週間で学んだことをどうか後期以降の設計課題にも活かして下さいね!


この夏2人目のオープンデスクは、芝浦工科大学4年の酒井須砂さん。

酒井さんはうちの事務所がある志木市在住の学生さん。実はうちの息子の幼なじみの子で、息子とは幼稚園が同じで息子つながりでうちにも遊びに来たこともあるという不思議なつながりでした。(オープンデスク生がとうとう息子世代よりも若くなりつつあります、、)

大学は建築学科に進んだというのでオープンデスクにもおいでよと以前から声をかけていたのですが、4年生になってようやく時間ができたそうで参加してくれました。

大学も4年生ともなれば住宅よりももっと大きな規模の設計に取り組む時期ですが、この夏にもう一度設計の基礎をみつめ直す意味で、ほかの学生とも同じ小住宅の課題に取り組んでもらいました。

初日は慣れない住宅のスケールやプランニングに四苦八苦して、思うように案が作れないことに悔しさも感じていたようですが、これを毎日繰り返すことで少しづつきっかけを掴み、最後には「緑と共に暮らす」をテーマに、中庭のある工夫の詰まった住宅を提案してくれました!

はじめて行ったという現場では、リアルな空間体験がとても新鮮だったようです。こちらはまた完成したら是非見に来て下さいね。最後に見せた我々による模範解答(実際に提案したプラン)にはとてもびっくりしたようで、学生とプロの違いについても感じるところがあったようです。

最後にはいつものようにスタッフのみんなにもコメントをもらい、私の著書(サイン入り)もプレゼントさせて頂きました。

今後は大学院に進学予定とのことですが、これから課題の規模は大きくなると思いますが、基本は住宅も大規模建築も同じです。今回の経験をどうか今後に活かしていってくださいね!

家も近いので、また困ったらいつでも遊びに来て下さい。お疲れさまでした~!