この夏三人目、最後のオープンデスクの学生がやってきました。征矢(そや)俊介くん、東京電機大学の二年生です。征矢くんの家は埼玉の桶川市とのこと。何をかくそう、私は桶川市川田谷の出身。とても親近感が湧いてしまいました。

これは4年制大学の建築学科学生あるあるなのですが、頭でっかちに難しいことを考えすぎて、なかなか図面が描けないというのがあります。その点専門学校の学生さんは、シンプルな考えでどんどん筆が進むのですが、征矢くんも案の定、初日はなかなか手が動かず苦労したようです。

まずはそんな凝り固まった思考を解きほぐすところから。住宅はとにかく住まい手の生活を思い浮かべ、それに寄り沿うというのが第一。奇抜な形やコンセプトはいらないのです。

具体的にアドバイスをすると、勘が良いのか次第にどんどんスケッチを書き飛ばすようになっていきました。最後のプレゼンでは、太陽光が差し込むように配置された窓や、生活を具体的にイメージしたような地に足が付いたプランを提案してくれました。短い期間でしたが、実際の住宅の設計というのはどういうものなのか、大学の課題とは少し違った切り口で理解してくれたように思います。

残りの時間で模型まで作ってくれました。なかなか斬新!よく考えて辿り着いた先にある形であれば、説得力を持つことを学んでくれたのではないかと思います。

お疲れさまでした!また見学会など遊びに来て下さいね。



この夏、二人目のオープンデスクは千葉工業大学3年の大河原雄友くん。大河原くんは実は建築学科ではなく、いわゆる土木系の学科に所属している学生さん。それでも建築の設計をやってみたいと、うちのオープンデスクに応募してくれました。

ただ実家が千葉の木更津とのことで、さすがに遠すぎるということで最初はお断りしたのですが、松戸の友人宅に泊まって通うので!との熱意に負けて受け容れさせてもらいました。

土木系学科でも、住宅の設計課題などは経験したそうですが、いわゆる図面の描きかたのような初歩的な指導のみだったようで。「建築をつくるとはどういうことか?」というところに踏みこんだ指導ではなかったようです。

いつものように住宅の設計課題を出したのですが、持参したエスキース帳も一般的なスケッチブックだったため、私が愛用するエスキース帳を一冊渡して「一週間でこれを使い切るくらい描くこと!」と伝えたら、最終日には使い切ることはありませんでしたが、2/3以上はびっしりとエスキースで埋めてくれました。


私は学生にもスタッフにも区別なく厳しいので、さながら1000本ノックのような日々だったかと思いますが、毎日指導を重ねるごとにどんどん線がクリアになっていき、最後には実際に建てられるレベルの素晴らしいプランになりました。高い集中力と吸収力で、日々ぐんぐん実力が伸びていってなかなか教え甲斐がありました。

建築学科で学んでいないことを気にしているようでしたが、雄友くんもこの経験はきっと自信になったことと思います!一週間お疲れさまでした。来週以降は、千葉の建築を見て回るという、もうひとつの”宿題”も是非がんばって下さいね。

この夏もオープンデスクの学生さんがやってきました。この夏のトップバッターは中央工学校2年の山脇銀史郎くんです!

銀史郎くんの中央工学校では、夏休みのオープンデスクを推奨しているそうで、学校に提出する受入れ証を発行してもらうために、オープンデスク前にも一度挨拶にやってきました。大きな声でハキハキ話す子でとても好感を持ちました。

年齢も私の息子と同じ歳!とうとうオープンデスクも息子世代になってきました。感慨深いです。

いつものように設計課題を出して一週間設計エスキースに励んでもらいましたが、銀史郎くんはとても手が早くて、その日に考えたことをすぐに図面に表現することが出来るという能力を持っていました。

これって四年制大学に通う学生でも(いやプロの設計士でも?)なかなかできないこと。これはセンス以外のなにものでもないと思います。

図面の詳細に目を凝らせば、もちろんツッコミどころはいろいろあるのですが、それらを指摘するとすぐに理解し、翌日にはそれをリカバーする案を考えてきたりと、こちらも指導しながら楽しかったことです。


研修中は進行中の現場にも何度か連れて行きました。

学校の設計課題もそうですが、設計だけでは絵に描いた餅のようなものです。現場でどうやって作っているのか、またリアルな空間の骨格を体験できたことで、事務所に戻ってからの設計エスキースも、それらをフィードバックしてより筆が走るようになったようです。

最後には恒例のスタッフへのプレゼン!銀史郎くんは断面図に細かい家具なども描き込んで、より生活のリアリティを追求してくれました。これも住宅を設計する上で、とても大切なことですね。

短かった5日間の研修ですが、多くのことを吸収してくれたようで、そのあと熱い思いのこもったメッセージを送ってくれました。どうもありがとう!

見学に行った現場が竣工した際には、是非実際の空間を見に来てくださいね。


東洋大学の学生、下田楓夏さんの1週間のオープンデスクが終わりました。いつものように課題を出しての所内エスキースと、現場や他事務所との交流など盛りだくさんの一週間でした。

現場の家具打合せでは、現場用語が飛び交い何を言っているのかチンプンカンプンだったようですが、先週末見学した「高円寺の長屋」もこういうやりとりの末に出来たのだということを知り、建築を作るということがどういうことか少しはわかってもらえたようです。

大学では教わらないリアルな設計の日常が垣間見えて、オープンデスクに来て本当に良かったとのこと。設計もわずかな間にぐっと上手くなりました。最後に私の著書をプレゼント。しっかり勉強して下さいね!お疲れさまでした。




季節外れのオープンデスク生が一週間ほど来ていました。佐藤惇生くん、デザインファームの学生さんです。佐藤くんは去年の3月頃、埼玉大学の学生だった時にうちの事務所に来たことがあったのですが、その後紆余屈折を経て、オープンデスク生としてやってくることになりました。

とてもまじめで礼儀正しい学生でしたが、よりによって私が自分でもパニックになるくらい忙しい週だったこともあり、あまりゆっくりと構ってあげられず少し申し訳なかったです。


こんな感じで、移動する電車の中でもエスキースは続いたのでした、、。ホント、こんな時間しか図面を見てあげられる時がありませんでした。



今回もこの暮れに竣工予定の住宅の敷地で課題を出題して、住宅設計に向き合ってもらいました。この一週間でも3つの現場に連れて行きましたが、どの現場でも目をキラキラさせて眺めていたのが印象的でした。

最後は恒例の所内プレゼン!スタッフからも的確なコメントが飛びました。こういう機会はスタッフの建築力を養う意味でも、良い機会になっている気がします。佐藤くんの案はわずか数日のスタディでしたが、とてもリアリティがあり、学びを的確に形にできる力量を感じました。

短い期間でしたが、見聞きしたり体験したことを是非自身の学びにつなげてもらいたいと思います。どうか良い進路に進まれますように!