新国立競技場議論に,今ひとつ乗り切れていない自分がいました.
確かにでかすぎるとは思います.けれども,そうだそうだ!と一緒に拳を振り上げられなかったのは,じゃあどうするんだ?という問いに自分に答えが用意できなかったことがありました.

何より知りたかったのは,一切コメントを出さない審査委員であった建築家たちの個別の考えです.私は心のどこかで,きっと審査委員のひとりである建築家の内藤廣さんは絶対ザハ案に反対したに違いないと思っていました.あるいはそうであってほしいと願っていました.

それらすべてに反論をすべく,ついに内藤さんが重い口を開きました.
http://www.naitoaa.co.jp/090701/top/forarchitects.pdf

誤解を恐れずに言いますが,胸がすくようでした.何より救われたのは,内藤さんが全力でザハ案を擁護していたことです.ザハは望まれずに産まれた子ではなかったのだということ.そして,一審から極刑やむなしの判決が覆ることのなかった被告に対して,世論にすべて背を向け,最高裁で無罪であると言い放った気骨ある弁護士の登場には拍手を送りたいと思います.(例えとして適当かわかりませんが)

ここ数ヶ月の私のモヤモヤに対して,その勇気ある内藤節が少し輪郭を与えてくれたような気がします.もちろんまだ議論は続きます.けれども魔女裁判にならなくて良かったというどこか安堵の気持ちです.