台風18号の影響で吹き荒れた突風は,熊谷市を中心とした埼玉県北部の地域に甚大な被害をもたらしました.
【報道】台風18号 突風、熊谷で26棟全壊
うちも2009年に熊谷で1件住宅を設計しています.「かたつむりハウス」といって,中庭を囲んだ木造2階建ての住宅です.心配していたのですが,お施主さんのKさんよりメールがあり,ご家族,家屋共に無事だったとのこと.ほっと胸をなで下ろしました.
Kさんからのメールを以下一部引用させて頂くと,
「突風の発生時は、もの凄い轟音と地響きで目がさめ、家ごと吹き飛ばされると、恐怖でいっぱいでした」
「両隣りの家は屋根瓦やカーポートの屋根がはがれたり、窓ガラスが割れたり、雨どいが取れてしまったり、、、裏のコンビニはガラスが割れて、商品が散乱していました。家の前の電線には、大きなトタン屋根が布切れの様にぶらさがっていました。 庭にはどこからか飛んできたガラスや瓦の破片、トタンが散乱し、昨日と今日はずっと掃除をしていました」
当時の様子はとても想像出来ませんが,さぞや恐ろしい状況だったとお察しします.
ところがお住まいの建物には何かがぶつかってへこんだ跡はあったものの,修繕の必要はなく,雨樋ひとつ飛ばずほぼ無傷であったとのこと.周囲に甚大な被害をもたらした災害の中,この家だけが受けなかった被害は奇跡のように思いました.
要因を分析すると,中庭を囲んだ壁が要塞のように突風を阻んだこと,駐車場の屋根も建物と一体で作ったこと,確かな施工,そしてなんといっても低く低く抑えたこの建物のプロポーションが,風を受け流し,建物へのダメージを最小限に抑えたのだと考えています.
周辺にもたらした被害を思うともちろん浮かれているわけにいきませんが,私にとっては,直接関係したKさんがご無事であったこと,そして我々が作った家が無傷でKさんを守ったということが何よりも嬉しく,誇らしく思いました.
当時遠景のこの住宅を眺めては,なんかフェラーリみたいだね,風を切って進みそうだね,と冗談交じりに話していたことを思い出しました.
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