先月,うちのオペルのスピードメーターが死んだ話を書いた.
その後ディーラーに持っていくと,ABSコントロールユニットの故障だと言われ,ユニットの交換その他で15万程度の修理代がかかるとのことだった.
以前も書いたけれど,うちの車は過去にもタイミングベルトが走行中に切れ,かなり大がかりな修理をしたことがある.その際にもディーラーには「直すとしたら100万円」と言われ買い換えを強く勧められたものの,結局その時は意地でも直そうと思い,横浜の熱心な修理工場(玉野自動車さん)に修理を出し,最終的にはその約半分の費用で元通りに直してもらうことができたという経緯があった.
その時の不信感もまだ残っていて,でも一方では横浜の修理工場ではあまりに遠く,そこまで持っていくか迷うところもあった.そこで今回は近くのディーラーで診てもらったのだけれど,でもどうにもここで直してもらおうという気がおきない.
その間,我々の間では「とうとう買い換えか」という考えが巡っていた.そんな折り,お世話になった横浜の修理工場に近場の工場を紹介してもらえば?という友人の助言もあり,問い合わせると,快く比較的うちの近くの修理工場(ムツミ自動車さん)を紹介して下さった.
横浜の修理工場も良かったけれど,ここも素晴らしかった.
対応がてきぱきしているし,逐一修理状況をメールで教えてくれる.一番嬉しかったのは,ディーラーは診るなり「交換」と言い放ったパーツが「修理」によって直ったことだ.これによって修理費用はぐっと安くなった.また冬から調子の悪かったエアコンも一緒に点検して下さり,わずかばかりの点検費用だけで応急処置まで施して下さった.結局,費用はディーラーが提示した費用の半分に抑えられた.
以前のブログにも書いたけれど,これは我々の仕事にも同じ事が言える.つまりお施主さんは家づくりにおいて,ハウスメーカーなどから3000万と言われたら3000万だし,4000万かかると言われたら4000万なのだと思うしかない.その費用が示す本当の意味での”仕事の質”まではなかなか想像ができないものだ.
例えば我々のような設計事務所は,クライアントの生活を事細かにヒアリングし,プランニングから扉一枚に至るまで図面を描き,工務店から出てきた見積書を隅々まで目を通し,根気強く交渉を行う.時にそれによって,クオリティはそのままで300~400万規模の減額になることも少なくない.一般に高いと思われている設計料なんて実は簡単に出てしまうものなのだ.
今回の修理で嬉しかったのは費用のことだけではない.この修理工場の仕事に賭ける心意気のようなものが感じられたこと.組織の理屈ではなく,個人のハートで我々の車のことを一生懸命考えて下さったこと.同じお金を払うなら,私はこういう人に仕事を頼みたいと思う.
昨日車を引き取りに行って,久しぶりに自分の車のエンジン音を聞いて嬉しくなった.私はカーマニアでもなんでもなく,正直車にはあまり興味がない.でも我が子に注ぐものと同じように,我が車だけはかわいいと思う.昨日は良い気分で家路についた.
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