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sekimoto

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朝日新聞(7/6)|東電の家庭用値上げ9月以降

今朝の新聞に,東電の値上げは早くとも9月以降になる見込みとの報道がありました.これは東電側からの正式発表ではありませんが,値上げが少なくとも8月になることはないのかなと,まずはほっとしているところです.

というのも,実は値上げそのものというより,今回の値上げ申請の中には,深夜電力における「5時間通電機器割引の新規申込み中止」という条項が(地味に)盛り込まれていて,これは我々が採用している「土壌蓄熱床暖房(サーマスラブ)」がまさにこれにあたる機器であり,この新規申込みが打切られるということは,事実上将来的にこの機器を採用することは難しくなることを意味するからです.

東京電力|料金メニューの新規加入の申込受付終了について 

実際,このサーマスラブは非常に優れた床暖房システムです.通常床暖房はフローリング材の下に敷設しますが,サーマスラブでは基礎コンクリートの下に敷設することで,床材そのものではなく,土壌自体を温めてしまうという型破りなシステムです.

それが何を意味するのか,にわかにはピンと来ないかもしれませんが,そうすることによって従来の蓄熱床暖房と異なり,蓄熱容量が半端なく大きいので,夜に近づくにつれて冷えてしまうこともなく,また「5時間通電機器契約」という特殊な電気契約を結ぶことで,通常では考えられない破格の使用料割引を得ることが可能となります.

実際に敷設したお宅に見学に行ったこともありますが,リビングのみならず,玄関から廊下,トイレに至るまで均質な暖かさになるという,まさにそれまで体験したことのない温熱環境を作り出していました.ただそれを担保しているのが,繰り返すようですが「5時間通電機器契約」という東電の設定した割引メニューの適用であり,それがなくなると単に電気代が高いだけの設備になってしまう恐れもあるのです.

せっかく優れた機器システムと出会ったのに,これを手放さなくてはいけなくなりそうな気配にも残念なのですが,まずは当面採用しているお施主さんを救済しないといけません.

ということで,現在現場が進んでいる,あるいはこれから進むサーマスラブ案件も8月中には前倒しでサーマスラブのための「5時間通電機器契約」を駆け込みで申込むことにしました.値上げが8月に早まったら間に合わなくなるお宅もあったので,前述の通りまずはほっとしたというのが正直なところです.

なお今回は「新規申込みの中止」であり,既にこの契約を結ばれて利用して下さっている方や,今回駆け込みで申し込む方も契約後は,今後もこの料金体系は守られますのでどうかご安心を.

それにしても,前回書いた東電社員さんの話といい,この件にあたってはサーマスラブの会社やその社員さんの行く末についても案じるばかりです.また実際に値上げとなれば悲鳴を上げる家庭や企業も多くなるわけで,フクシマの激震は今なお続いていると言わざるを得ません.