今週引渡しをする住宅に設えた木造カーポート。屋根は立平葺きにしていたのだけれど、昨日2階の窓から見ていたらハゼの先を全倒し(通称しののめハゼ)にして下さっていることに気がついた。

この葺き方はそれなりの技量がないと難しく、今回はいつもの板金屋さん(新井勇司さん)ではないしカーポート屋根ということで、特に葺き方までは指定をしていなかった。

実は数年前に同じ工務店でこの葺き方を指定したら、技量不足から失敗した経験があり、それもあって私も相手の技量を見極めて、むやみに誰にでも難しい納まりは言わないようにしている。

もしかしたら数年前の仕事で失敗したことをずっと悔やんでいたのかもしれない。あるいはそれを知っていた上の職長が今回はやったのかもしれない。いずれにしても、何年経っても私という設計者を覚えていて、関本さんの納まりはこれだと認識してくれていたことが嬉しかった。

関本さんはこれなんでしょ?今回は上手くやっておきましたよ。そんな無言のメッセージにじんときた。

今回はクロス屋さんもとても腕の良い方で、その仕事に賭ける心意気に感じるものがあり名刺交換を申し出たら、設計者から名刺をもらったのははじめてだとすごく感激して下さった。

今回の現場は特に気合を入れて下さったようで、いつも以上に事前に練習して現場に臨んでくださったらしい、という話を現場に居合わせた建て主さんから後日聞かされた。手にはマメがいっぱい出来ていたとのこと。こちらもじんときた。

ありがとう!