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sekimoto

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先週末、所用あり葉山に向かう道すがら、茅ヶ崎の熊澤酒造というところに立ち寄りました。妻から聞き私もどういうところなのかよく知らなかったのですが、大変素晴らしい空間でした。

古い蔵や、立派な骨組みの空間を転用してのパン屋さんやカフェ、また古民家を移築したレストラン、また雑貨店なども併設されていました。そのどれもにセンスが溢れていて、感性が満たされたことはもちろんなのですが、やはりその空間には本当に魅せられてしまいました。

空間というと、一般的には室内空間などを思い浮かべるかもしれませんが、私の言う空間というのは、外部空間やちょっとした路地のような場所も含めてのものです。一言でこんなことを思いました。

「時間が作り出す空間には建築家は勝てない」

我々が腕によりをかけて、良い素材を使って渾身の空間を作れば、竣工時には素晴らしい空間をつくり出すことはできます。けれども、どこにでもあるような凡庸な風景や素材だったとしても、風雨に晒され時間を経ることでそれはダイヤモンドのように輝きを増してゆきます。それは先日訪れた東北の風景にも同じ事を思いました。

我々は謙虚な気持ちで「時間」の力を借りなくてはいけないのだと思います。そしてそんな空間をつくりたいと強く思いました。ここのところ、狭い思考領域に自分が入り込んでいたことにも、気づきをもらえた気がしました。