11. 10 / 09

生意気

author
sekimoto

category
> 思うこと


あるコラムに「生意気には賞味期限がある」というようなことが書かれていた.
私も若い頃は生意気だった.生意気に見えないように気をつけていたけれど,やっぱり生意気だったと思う.

学生の頃,JIA(日本建築家協会)の学生賞をもらったことがあり,関係者に飲みに連れて行ってもらったことがあった.その席で「君は歴史についてどう思うか?」と訊かれて,「歴史には興味が無い.大切なのは未来だと思う」というようなことを発言した記憶がある.今思えば冷や汗ものである.

けれどもその席では,説教をされるどころか皆笑いながら「おもしろい」と言ってくれた.当時は根拠もなく自分に自信があったし,そんな具合に生意気を言っても,それを受け止めてくれる大人が周りにいた.

それが今では周りはだんだん年下が多くなり,生意気を言われて,それを受け止める立場になってしまった.スタッフや学生にも,良かれと思っての意見やアドバイスが,ついつい説教や余計なお世話になってしまうこともあって,実際かなり気を遣う.

また私の立場で本音を言ってしまうと非常に重い意味を持ってしまうので,関係者に対しての発言にも慎重に言葉を選ぶようになった.そういう意味では,奔放な発言をくり返していたあの頃とは大違い.まさに私の生意気の賞味期限はとっくに過ぎているのかもしれない.

ただ一方で,私が所属する団体の中にはまだまだ私より重鎮の先輩方が多数を占めているところもあり,そういうところでは私も無礼を承知でたまに”生意気”なことを言わせてもらったりもする.そこでは私よりもずっと大人な先輩方がやさしくフォローし,やんわりと諫めて下さる.ありがたいことである.