「通り土間の家」につき、昨日引渡しを終えました。建主さんからは、なんと住宅のプランを象った真鍮製のキーホルダーをプレゼントして頂きました。これにはびっくり!こんなの作れるんですね。
それ以外にも、私の好きなSOUSOUの手ぬぐいまで。Uさん、心のこもったプレゼントをどうもありがとうございました!
「通り土間の家」の敷地は、上空から見るとT字型をしたような変形地でした。そこにどう建物を配置して、どんなプランにすれば求める生活が出来るのかは、当の建て主さんにはとてもイメージはつかなかったことと思います。
先週にかけて実施した内覧会では、何人もの方から、その一風変わった設えに「建て主さんのご要望だったのですか?」と聞かれましたが、必ずしもそういうわけではなかったような気もします。ただ結果的には、建て主が求められていたものにはなったのではないかと思っています。
家づくりにおいて、最初からどのようなプランにしたいかや、各所の設えなど、具体的に細かくどうすれば良いかわかっていれば、それを言われたとおりに実現してくれる人に頼むのが一番良いかもしれません。たとえばハウスメーカーの担当者さんなどは、従順にその通りにしてくれるような気もしますし、、。
我々は建て主さんのご要望のみならず、周辺環境や将来の変化、コストバランス、機能や実用性と同じくらい美しさなども天秤にかけて建物をつくることを信条としています。また建て主さんに対しても、我々は単なる御用聞きになってはいけないとも思っています。たぶんこれは、人によっては面倒くさいと思われるでしょうね、、。
広い視野で住まいや建築のあり方を考えることは、大学の建築学科を出ただけでは簡単に身につくものではありません。専門知識と同じくらい、実生活で身についた常識や生活感覚というものも同じように大切だからです。それは家づくりのために”にわか勉強”をされた建て主さんであっても同様であるとも言えます。家事動線や収納など、生活感覚だけで作った家もまた、遊びがなく単調な空間になってしまいがちだからです。
今回は時に大胆な提案をした場面もありましたし、施工なども人間の手によるものなので完璧というわけにもいかなかった部分もありましたが、どんなことにも面白がって、好奇心を持って対応して下さったことは、我々にとっても大きな救いとなりました。
打合せを通じて、Uさんには多様性や自分の考えとの違いを楽しんで受け入れるという寛容さや懐の深さが備わっているように感じました。その器には尊敬の念しかありません。
そんなUさんだったからこそ、この大らかな家が出来たのでしょうね。我々の創造性をぐいぐいと引っ張って下さった、Uさんご夫婦の笑顔だけが今浮かびます。本当にありがとうございました。
わんぱくなお子さんが走り回るワイルドな家になることを願って!
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