石井秀樹は同期の建築家である。リスペクトもしている。彼は私に憎まれ口を叩く数少ない友人だ。だから私も彼には遠慮はしない。
彼の「中目黒の家」を見せてもらった。控えめに言って素晴らしかった。期待は裏切られなかった。
どこがどうという話はいちいち書かない。彼の思考は極めて建築的であり、そこにはストーリーがある。しかしそのディテールは狂気に近い。峠のヘアピンカーブを、彼なら時速100キロで突っ込んでゆくことだろう。
「中目黒の家」は豪邸である。費用のかけ方も尋常ではない。人はそれをして妬むだろうか?自分にもそれだけの予算があれば素晴らしいものができると。しかしそれは違う。F1ドライバーはF1マシンに乗っているから早いのではない。F1ドライバーだから早いのである。
おそらく私にはこの条件を乗りこなすことはできないだろう。今回ばかりは彼のドライビングテクニックに舌を巻くほかない。
建築は個別のものであるけれど、建築家自身を、その生き方を如実に表す。控えめに言って、建築とは覚悟であり勇気である。彼の建築にいつも思うことだ。
遠慮はしないが、少し褒めすぎた。
今日は案内ありがとう!
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