20. 09 / 15

法廷遊戯

author
sekimoto

category
> 建築・デザイン



先日電車に乗っていたらとある小説の広告があり、その表紙を見て「あ、これ小口さんの装丁だ」とすぐに気付き、思わず買ってしまいました。

ブックデザイナーの小口翔平さんは、うちのクライアントさんでもあって、小口さんのグラフィック事務所tobufuneはそのままのタイトルで、サイトの「これまでの仕事」にも載せていますので、ご興味ある方はご覧下さい。ちなみに小口さんのご自宅も我々が設計させて頂きました。

それはさておき、この「法廷遊戯」という小説が売れているようです。著者は五十嵐律人さん。前述の通りジャケ買いしましたので、まだ中身は読んでいません。すみません、これから読みます!

で、この装丁を見てなぜすぐ小口さんのデザインだとわかったかというと、以前こちらのサイトで小口さんが珍しくそのデザインプロセスを解説していたからです。

装丁のあとがき
https://tree-novel.com/works/episode/.html

小口さんは、装丁を依頼者である編集者さんに見せる際も、一切の説明をしないそうです。理由は、書店で本を手に取る読者には説明は出来ないからとのこと。説明が重要な意味を持つ建築とはずいぶん違うんだなと思った記憶があります。

そんな小口さんが解説するデザインプロセスは、とっても面白かったです。この、普通の人が見たらどれも同じに見えるような微差にこだわり続けるのがデザイナーですし、こだわるというより、本人にとっては違和感でしかないものを、どこまで排除できるかという作業そのものなのだと思います。

そうかそういうことがあって、結局これになったんだなと思うと、本屋にずらっと並ぶ本にも別の側面が見えて面白いですね。

手がける本は常に大手書店の売り上げ上位を独占するという神懸かった小口さんですが、そんな装丁を眺めて私もその微差の持つ奥行きに思いを馳せたいと思います。