19. 07 / 29

住宅と編集

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sekimoto

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> 思うこと


一般的に建築家やデザイナーと呼ばれる人は、クリエイティブな職種であり、世間では創造的な仕事と思われている。しかしこれは半分正しいが、半分は間違っている。なぜなら我々のような仕事は、実際には半分は創造的であるけれど、半分は同時に編集的でもあるからだ。

詰まるところ優れた設計は「優れた編集」にあると言える。
たとえば最初に頭に浮かんだアイデアは、大概現実離れしていてそのままでは使えない。それを現実的に着地させてゆくには、やはり編集能力が必要だ。

建て主の要望もまた、そのまま箇条書きに盛り込んだだけでは建築にはならない。その中から要点を拾い出し、並び替え、見出し(コンセプト)をつけて提示するからこそ、その輪郭はクリアになる。

仕事がら編集者の方とお話する機会が多々あるが、つくづく私は編集側の人間であると感じる。インタビューを受けるよりも、誰かから話を聞いてそれを編集し、何かしらのわかりやすい着地点を見つけるという作業に最もやりがいを感じてしまう。

編集者にならなかった私は、住宅の設計者になった。つくづく天職だと思う。