昨日の「縁側の家」のオープンハウスは、おかげさまで盛況のうちに終了致しました。ご来場下さった皆様、ご協力下さった建て主様に心より御礼申し上げます。

前日までに耕水さんに造園もきれいに整えて頂きまして、同日に引渡しまで終えることができました。耕水さんも、前日土砂降りの中作業を下さいまして誠にありがとうございました!


今回のオープンハウスには、いつも通り現在進行中の建て主さんや同業の設計者仲間に加えて、他現場の工務店やその大工さんなど、我々の仕事を見たいと申し出て下さる方も多く、大変嬉しく光栄に思いました。

他現場の大工さんなどは特に、目先の自分の仕事にしか目が向かないものです。ですが、同じ設計者による別現場を見れば、他の大工もまた自分と同じように奮闘し、同じように、あるいはより高度な技量を持って現場を納めていることを知ることでしょう。

現場を縦断したこうした学びもまたとても貴重な機会のように思います。意識の高い大和工務店さん、サンビックさん、ご見学ありがとうございました。



また教え子も含めた学生さんなども多く来て下さり、大学では教えられないディテールや素材の話などもさせてもらいました。

写真は「この壁紙はどうやって張ったか、考えてごらん」のひとコマ。なにげなく見える細部にも、それを作る職人の粋が詰まっていることを感じてもらいたいです。ひとつの建築を作るということはどういうことか、単なるビジュアルだけではないものを感じてもらえたとしたらなお嬉しく思います。



今回は築50年の住宅リノベーションということで、いつもとは少し違う我々の仕事を感じてもらえたのではないかと思います。リノベーションという”足枷”が、いつも手癖のようになっている「こうやればよい」という方程式のようなものを崩し、我々にとっても新鮮な空間が立ち現れたことは大きな収穫でした。

もちろん、このように表象的に立ち現れることは建築では氷山の一角で、より多くは耐震改修や、そのありかたに悩み、出口のない計画の迷路をさまよい歩いた時間であったことを申し添えておきます。


ただそんな折れそうになる心を奮い立たせてくれたのは、やはり建て主さんの”覚悟”であり、我々に寄せて下さる絶大な”信頼”でもありました。この覚悟と信頼関係こそが我々の仕事を大きく前進させる原動力だと思います。我ながら、今回はとても良い仕事ができたのではないかと今は爽快感の中にあります。

最後にそんな建て主さんご家族と囲んだ食卓は、そんな仕事を締めくくるに相応しいものでした。建て主のNさん、本当に最後までありがとうございました!今後とも末永いお付き合いをお願い致します。