小学校の同窓会があり、恩師の先生と実に33年ぶりの再会をした。
小学校6年生の担任は茂木先生という先生で、小学校から大学までを通して、恩師を一人挙げろと言われたら、この茂木先生の名前が真っ先に出てくるほど、私にとっては印象深く、尊敬していた先生だった。
この先生にはたくさん褒めてもらった記憶がある。とにかく褒めるのが上手い先生だった。取るに足らないことでも、クラスみんなの前で褒めてくれたし、それは私だけではなくみんなに対してもそうだったと思う。
一方で怒るときも怖かった。この先生にお尻を叩かれたことのない生徒はいないと思う。でも手を挙げるのは必ずお尻だけ。今ではそれでも体罰と言われてしまうのだろうか。当時は先生に怒られると、自分たちは本当に悪いことをしたのだと思ったし、だから叩かれても当然だとも思っていた。
一方でクラスでいじめ問題が起こった時には、涙をぽろぽろ流しながら生徒に訴えた。それを見て僕らも、心底悪いことをしてしまったのだと悟った。情熱的で、愛情に溢れた先生だった。
小学校を卒業し、年賀状のやりとりも途絶えたあとも、ことあるごとに先生のことを思い出した。今頃どうしているのだろう?自分の近況を報告したい気持ちもあった。でも卒業して30年も経っていて自分のことなど覚えているはずがないし、連絡をする勇気もなかった。そもそも、今どこに住んでいるかもわからないのだ。
今回の同窓会では、私はクラス幹事を引き受けたことによって、結果的に幹事として先生に連絡を取らなくてはならないことになった。それは私にとっては千載一遇のチャンスになった。
卒業アルバムに残されていたご実家の電話番号だけを頼りに、勇気を振り絞って電話をかけた。誰かに電話をするのに、こんなに緊張したのも久しぶりのことだった。そしていくつかのやりとりの末、ようやく先生に辿り着くことが出来た。
◇
再会も全くお変わりがなかった。当時20代だった先生は小学生から見たら立派な大人だったし、その印象は当時そのままに、一方の私は今その歳をはるかに越えてしまっていることに驚く。
先生との会話はわずかではあったけれど、昔話にも花が咲いた。みんなも先生との再会が嬉しかったようだ。私のことも覚えていて下さった。そうか、自分は先生にずっと褒めてもらいたかったのかもしれないとその時思った。
生徒は先生に褒められた記憶だけは、いつまでも決して忘れないものだ。苦境に陥ったとき、それがその人にとって最大の励みになる。今では自分も教える立場に置かれながらも、自分の未熟さを省みるばかりだ。
先生に会えて、本当に良かった。
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