
非常勤講師を務める日大理工学部建築学科の、夏休み恒例カリキュラムに「デザインワークショップ」があります。これは大学3年生を中心に、その年ごとのテーマに沿って5日間ほどの短期間でデザインの原寸製作を行ってゆくというもの。今年は6年ぶりに指導を担当することになりました。
今年のテーマは「シェルター」
被災地などでは、身を寄せる体育館などに十分なパーティションがなく、プライバシーの問題など避難生活に多大なストレスが生じています。今回はそんな被災地の体育館などでも活用できそうで、なおかつ建築としても美しいシェルターのデザインを提案してもらいます。
<ワークショップ・初日> 8月6日(土)

こちらが私が担当する班の構成メンバー。ワークショップは全4班で、他の班は他の講師が別に指導に当たっています。この日までに異なる切り口による3つの案を持ってきてもらいました。
製作期間は実質3~4日程度のため、あまり複雑なものは消化不良で終わってしまう恐れがあります。かといって、あまりに簡単なものではワークショップになりません。建築学科の3年生が製作するものとして恥ずかしくない、高度かつシンプル、そして構造的にも合理的で、プロダクトとしても美しく優れたもの・・。
な~んて、そんなこと口ではいくらでも言えますよね。
とにかく時間が無いので、早急に製作の目標を定めなくてはなりません。先週のミーティングでは3つの案のうち、最も合理的で製作にも無理のない以下の案をプロトタイプに選びました。

竹を使ってアーチ構造を作り、それを手がかりとしてヒモ(又は布)でそれを覆うというアイデア。竹を弓形にしならせる糸を外せば、簡単に折りたたむことができます。
ただ…構造も含め問題は山積みです。私も方向性についてゴーサインを出したものの、モヤモヤが晴れません。さてどうしたものか…。
<ワークショップ・2日目> 8月8日(月)

さて、週が明けて今日が2日目の指導日。
まずはこの日までに竹などの素材を入手し、実際にアーチ構造を作るところからはじめてみようということになっていました。この日の午後に大学に行くと、すでにいくつかのアーチの試作が。この辺りの手の早さがさすが3年生といったところです。
ところが、ここからまたもや壁にぶつかります。
当然ですが、これに模型のような糸を張ろうとすれば当然アーチは内側に倒れてしまいます。もちろん、アーチ端部を強固に台座に固定すればなんとかなるかもしれませんが、少々強引なやり方で、今回のように仮設的な構築物を作るにはあまり賢明な構造とは言えません。

私からのダメ出しに、学生達の議論が再び始まります。しかし私の中では6年前のワークショップで一つ大きな反省がありました。それは議論に時間をかけすぎて、結果的に彼らの製作時間を大きく削ってしまったということです。
作りながら考えよう!ということで、着地点は見えませんが、とりあえず思いつきをどんどん形にしていってもらうことにしました。



なんか楽しそう笑
女の子もたくましくドリルやノコギリを使いこなしています。さすが建築学科です。私もつい口や手を出したくなってしまうのですが、ここはぐっとこらえて学生達の成り行きを見守ります。
方向性がカオスに陥りそうになった頃合いで、学生達のスタディから全体をひとつにまとめるアイデアが生まれました。これなら行けるかもしれない!?このライブ感こそワークショップの醍醐味かもしれませんね。
それは何か?本当にうまくいくのか?
それはまた明日以降の作業で次第にクリアになってゆくことでしょう。乞うご期待!
