
今月から着工する住宅の現場に工事看板が立てられた。
一般的に工事看板には「○○様邸新築工事」などと書かれる。ところが今回は「TOPWATERの家新築工事」とある。私なら間違いなく二度見するだろう。
この看板の表記からは様々な解釈が生じる。
まずTOPWATERがバス釣り用語で言うところの、”トップウォータープラグしか使わない(ちょっとヤンチャな)アングラー”を意味していることを瞬時に理解した者は、ニヤリと笑い、「まじか」もしくは「この人大丈夫か」となるだろう。まぁ狙い通りと言えよう。
しかしほとんどの人は、TOPWATERの意味が分からず、「なにコレ?」もしくはやはり「この人大丈夫か」となるだろう。少し不本意であるが仕方あるまい。
またある人は、元ピンクフロイドのRoger Watersを連想し、Top Watersさんという外国人ミュージシャンの家であると思うかもしれない。しかし、なぜゆえに看板にフルネーム?その謎解きのために、いつまでも看板の前から立ち去ることができないであろう。
そもそも「TOPWATERの家」ってなんだ?
たとえば故篠原一男氏の住宅に「白の家」というのがある。建築のタイトルにありがちな「形容詞+の家」パターン。この場合、形容詞にはその家のあり方やコンセプトを象徴する言葉が置かれることになる。今回はこの「TOPWATER」がこの家のあり方を、コンセプトを象徴しているのだろうか。そうか、そういうことなのか?
こう考えた人はもう目が離せない。基礎が始まり、上棟し、その全容が次第に明らかになるにつれ「これなのか?これがTOPWATERなのか?」と、ひとつひとつのプロセスやエレメントに意味を見いだし続けることだろう。
そもそも、この家のタイトルは「TOPWATER」であって、「TOPWATERの家」ではない。誰だ間違えたやつは!
最初から書式として「の家」が印刷されていて消せなかったというのなら許そう。しかし「様邸」という文字をわざわざ消して、その上から「TOPWATERの家」という文字を上書きしているではないか。
確信犯。
私の頭にそんな言葉がよぎる。目的は何だ?
妙にじわじわくる。
