TCCというのはTokyo Copywriters Clubの略で、東京で活躍するコピーライターさんの団体です。ただこの団体、お金を払えば誰でも入会できるわけではなく、TCCが毎年表彰するTCC新人賞を受賞した者でなくては入会できないという秘密結社、いやちがった、かなりハードルの高い格調ある団体のようです。
だからきっとTCCの会員だと言えば、コピーライター界では鼻高々、会員証(なるものがあるのか知りませんが)をひとたびかざせば、水戸光圀公ばりにかなりドヤの入った顔をしても許されるのでしょう。(あぁ、かざしてみたい!)
所属メンバーには大手広告代理店所属から個人の方まで、日本のトップクリエイター達がひしめきあっているわけですが、その中でもさらに「殿堂入り」している人達というのがいます。トップオブトップ。野球で言えばベーブルースとか長嶋さんみたいな人、建築で言えば丹下健三さんや安藤忠雄さんのような方でしょうか。
なるほど。皆さんお馴染みの糸井重里さんの名前もありますね。
前置きが長くなりましたが、そんな日本のコピーライター界の”レジェンド”を表彰した部屋(つまり殿堂/Hall of Fame)をTCCの中に作ってほしいという依頼を、縁あって私がまだ駆け出しだった2004年に頂きました。
なぜ私がという説明は省きますが、当時そんな依頼に応えて、時代の感性を映す鏡としての殿堂の設えを、ガラスとワイヤーだけで作りました。下にはキャスター付きの家具が納められています。
そんな家具のキャスター部分が摩耗して動かなくなってしまったという相談をTCC事務局から頂きまして、それを今回交換工事を行うことになったというわけです。
簡単な作業ですので、今回の交換は我々だけで行うことにしました。よく見ると経年のせいか樹脂がボロボロになっています。10年ちょっとでこんなになるんだということにある意味衝撃を受けましたが、首尾良くすべてのキャスターを交換し終えました。
このHall of Fameをデザインしたのは2004年ですから、今から12年前、まだ事務所を立ちあげて2年くらいの頃でしょうか。TCCには当時の担当者の佐藤さんもいらっしゃって、お互い本当に久しぶりの再会となりました。
当時はまだいろんな意味で若かったけれど、今あらためて当時の仕事を見るとなかなか悪くないと思ってしまいます。こうして12年経って見てもデザインも古い感じがしませんし、細部まで丁寧なディテールで作られています。(やるな、俺)
佐藤さんにも当時は駆け出しであったことをお話ししたら、当時の私はとても駆け出しには見えなかったとのこと。そうか、根拠なく自信のありそうな振る舞いは昔からだったのですね。でもあらためてTCCさんには良いお仕事をさせて頂いたのだなとしみじみ思いました。また当時の自分の仕事にも会えてそれもまた嬉しかったです。
TCC事務局の佐藤さん、ありがとうございました!
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