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sekimoto

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昨日は仕事納めであったと同時に、スタッフ牛島くんの勤務最後の日でもありました。手に持っているのはアールトのスツール60、私からのプレゼントです。彼はこれにてうちを卒業し、年明けからはフリーで活動してゆくそうです。

彼がうちに在籍したのは4年と3ヶ月。彼はうちに来るまで、いくつかの設計事務所を転々としていました。オープンデスクのようなものも含めればもっとだと思いますが、彼のすごいところは、興味を持った建築家がいるとすぐにアポを取って会いに行ってしまうことです。

それは就活のためというより、会って話が聞きたいという純粋な動機からだったそうですが、そのため彼の交友関係は実に広く、私が面識のない建築家まで彼はよく知っているのです。

ともあれ、彼はうちの歴代スタッフの中でも最も”キャラの立った”人物であったことは確かです。ウッシーの愛称で担当物件のクライアントはもちろん、担当以外のクライアントにまで可愛がられていました。

誰にでも積極的に話しかけて、どんどん打ち砕けた雰囲気に持っていく彼の明るい性格は天性のものでしょうし、これから彼の大きな武器になるに違いありません。


また一方で、彼はうちの歴代スタッフの中でも最も私に叱られたスタッフであったことも確かです。図面の描き方、仕事の進め方など、こと細かく彼には指導を繰り返しました。

時にはかなりキツいことも言ったと思いますが、それでも彼はすぐに気持ちを切り替えて引きずらない。そしてそれを改善するための努力を怠らない。そういう前向きな姿勢を、私はとても買っていました

図面作業が遅いと叱った翌日からは、人より朝1時間早く出勤していました。夜遅くまで残ることもあれば、休日も返上して事務所で図面を描いていたこともありました。また自ら志願して、別の担当者の現場にもよくついてきました。そこの監督にも臆することなく質問攻めにしている姿もよく目にしました。

また、毎週末のようにいろんな建築家のオープンハウスに足を運び、こんなところが良かった、良くなかったという話をよく週明けにしてくれました。仕事とプライベートははっきり分けるうちのスタッフの中では異色の存在でした。

彼の担当案件は、うちの中でも最も難しい部類に入るものばかりでした。隅切りの家、トンガリの家、A-FLATなど、これまでの常識が通用しない、私ですらどうすれば良いかわからない計画を、持ち前の熱心な研究精神で支えてくれました。


これはよく思うことですが、皮肉なことに、スタッフが辞める刹那、事務所がとても良い雰囲気になります。辞めようとするスタッフが、それまで学んだことを出し切り、最後の案件をより完璧な形で納めようとするからです。

その背中を見て、他のスタッフが引き上げられる。そして次を背負わなくてよくなった心のゆとりからか、これまでになかった気配りや目配りをしてくれるようにもなります。

今回は10月に入社したばかりの新スタッフ矢嶋くんを、牛島くんが実に良く面倒を見てくれました。面白いので、私は口を出さずに一部始終をいつも背中で聞いていましたが、牛島くんがこまめに矢嶋くんの進捗を気にかけ、その都度適切なアドバイスをしたり、遅くまで指導をしてくれていたこともありました。

それはとてもありがたかったと共に、かつてはあれほどまでに私に叱られていたスタッフが、ここまで育ってくれたかという思いでいっぱいでした。
どうもありがとう。とても嬉しかったです。


まだ資格すら得ていないというのに、大海原に漕ぎ出そうという君の勇気を称えます。でもなぜか君なら大丈夫だという気がしてなりません。なぜでしょう。それがウッシーの不思議な人間力なんでしょうね。

リオタデザインを卒業したスタッフは、皆最高に仕事のできるキレ者ばかりです。私が認めた人物であれば、どんな業界に行っても、どんな仕事を任されても、きっと依頼主を最高に満足させられることでしょう。

それがリオタデザインの伝統であり誇りです。矜持を持って進んでください。
応援しています!