本日「はねだしテラスの家」オープンハウス、無事終了しました。大変な猛暑の中、また少々不便な立地ではありましたが、お越しくださいました皆さまに感謝申し上げます。

住宅はわずか18坪強の敷地に、計4つのフロアをスキップさせながら積層させた住宅です。高い吹き抜けと、将来子ども部屋となるロフトが空間を特徴づけています。


いつもこういうロフトを作ると、子供たちに大人気となります笑。子どもは猫に近いのでしょうか。少し高くて小さな空間があると、そこに自分の居場所を作ろうとします。

今回はそれに加えて、スキップした中間階にも小部屋を作り、来場者の方からは「ここは何の部屋なんですか?」と訊かれましたが、それは私にもわかりません笑。きっと住まい手の生活が定まった頃に、その部屋にも用途が与えられていることでしょう。


ダイニングから延びた先には、今回のタイトルにもなっている”はねだしテラス”があります。外壁から2mもはね出したテラスというのはあまり見ないかもしれません。しかも北側に。

北側のテラスって、結構いいんですよ。テラスは単に洗濯物干す空間だと思っていませんか?ここには洗濯物は干しません。植物を置いたり、ここでお茶を飲んだりします。小さな子どもを遊ばせるのもこんな場所が良いかもしれません。秋になると涼しい風が吹き抜けることでしょう。


ご来場下さった方は、この掟破りのテラスがどのように構造的に処理されていたかお分かりだったと思います。意外とシンプルにやっています。

こういう”庭”のような余剰空間があるだけで、住宅というのは一段と広がりのある表情を見せてくれるものです。


さて、そろそろこの住宅の核心に迫りましょうか。

この住宅はとてもローコストにできています。ご来場下さった人の目にはそう見えなかったと思いますが、実はそうです。いくらだったかは言いませんが。(工務店に口止めされています笑)

そんなにオトクならお願いしようかしら、と思われるかもしれません。ただ我々は安請負をしません。なんといっても完成させなくてはいけない責任がありますから。だから「それじゃ無理」と思えるときは、お仕事を安易にお引き受けしないようにしています。

実はこのクライアントさんがうちにいらした時、とてもご予算が厳しく、今だから言えますが、正直「それじゃ無理」って思いました。責任持てないと思ったんです。でもすごく純粋で、まじめな良いクライアントさんだったんですね。

それでも心を鬼にして、ずっとお断りしていたんです。はっきりとは言いませんでしたが、それじゃ無理です的なニュアンスをずっと含ませてお話ししていました。


すると、ある時ぷつりと連絡がなくなったんですね。あぁ諦められたのかなあと思っていたら、メールが届きました。そこにはこう書かれていました。

「関本さんにお願いできないんだったら、もう家は建てなくていいと思っています」

これは効きました。もうガツン!という感じです。
このクライアントはここまで覚悟を決めている。ここで受けなくてどうする?そう思いました。


そうなんです。家づくりは覚悟なんです。家を建てるという覚悟。その人にお願いするという覚悟。そしてその覚悟を決めた人に対して、我々も覚悟を決める。そういうものだと思います。私は腹をくくりました。そこからはトントン拍子で話は進みました。

このクライアントさんがすごいなと思ったのは、覚悟ともうひとつ、相手を信じる力です。我々の提案をすべて受け入れ、全幅の信頼でお任せ下さいました。

なにより、我々がご提案する度に目を輝かせて感激して下さるんですね。我々も気づけばずいぶん乗せられてしまいました笑。いつしかこのクライアントさんに喜んでもらいたいと、心から思うようになっていました。


私が思うに、家づくりで得をする人というのはこういう人だと思うんですね。人を信じることの出来る人。文字通り、得というのは徳なんでしょう。すべては人徳がなせる業なんですね。

今回の仕事では我々も勇気をもらいましたし、貴重な経験もさせて頂きました。
やればできるんだなあ、とも笑。

そんなクライアントさん、そして意気に感じて素晴らしい施工をして下さいました和光建設さんに、この場を借りてあらためて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました!