ライター・萩原健太郎さんの新刊「北欧とコーヒー」の献本が送られてきました。こちらでは、「北欧・コーヒーを愛する人たち」というコーナーで健太郎さんにインタビュー取材を頂きました。
「北欧とコーヒー」 萩原健太郎・著 (青幻舎)
同著では、ほかにも私の設計したカフェmoiの店主岩間洋介さんや、moiのオリジナルカップEclipseをデザインして下さった梅田弘樹さんも登場します。
思えばmoiを荻窪(現在は吉祥寺に移転)に設計して、早13年が経とうとしています。岩間さんも、梅田さんもそれぞれのスタンスでこれまで自身の仕事を積み上げて来られたわけですが、同じ本に3人が集うというのはおそらく初めてではないでしょうか(紹介のパートは異なりますが)。私はちょっとした同窓会気分です笑。
ところで、いつから「北欧=コーヒー」になったのでしょうか。
私が留学中は、”北欧のコーヒーはまずい”が留学生の間では合言葉でした。ついでに言うなら、北欧の料理もまずい、と。ところが友人の森百合子さんも「北欧のおいしい話」という本を出していますし(これを読むと実際においしそう!どこにそんなものが?と思うくらい)、ノルウェーのコーヒーチェーン、フグレンの進出もあってか、今では北欧のコーヒーはおいしい、おしゃれ、がキーワードになりつつあるようです。
実際、世界一のバリスタを決める大会で上位を独占するのは北欧勢ばかりという時代です。しかし私が当時フィンランドで呑んでいたのは、すっぱくて煮詰まった、場末の喫茶店で出てくるような代物でした。牛乳で半分くらいうめないと飲めない。だから、カフェにはどこも牛乳がジャグに入ってドンと置いてあるのでした。
いや、きっとその文化(?)はまだ残っているに違いないと思うのですが、この本に出てくる”北欧通”たちはみなこぞって、この「煮詰まった酸っぱいコーヒー」の話をしていて、私にとっては「そうそう、北欧のコーヒーといえばやっぱそれだよね!」とばかり、懐かしくなりました。
ところでもう一つ面白かったのは、前述の”同窓会”のごとくmoiの関係者が一同に会した(クドいようですが別々のページでの紹介で、実際には我々は会っていません)この著書で、私も、岩間さんも、梅田さんも、語っているのはカイ・フランクのことなんですね。
フィンランドデザインの良心といわれた巨匠デザイナー、カイ・フランク。私は建築ですが、その発想の源にいつも規範のようにあるのはアールトではなく、むしろカイ・フランクの方かもしれません。梅田さんはカイ・フランクに惹かれてフィンランドに渡り、カフェオーナーの岩間さんは、コーヒーカップの理想型はカイ・フランクだと語ります。
それを読んで、我々が当時どうして惹かれあったのかわかるような気がしました。そしてあれから10年以上の時を経てなお、我々はカイ・フランクなんだなあと。このことが気恥ずかしくも、とても嬉しかったです。健太郎さん、ありがとうございました!
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