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sekimoto

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川越で進行中の現場,FPの足場が外れました.
ギングロはよくあるのですが,黒の板金を使ったのは初めてです.クライアントも悩みに悩み,”川越らしさ”の表現として最終的にこの色を選ばれました.正解だったと思います.とても存在感があって,何か荘厳な感じすらします.

クライアントがこだわられた点がもう一つあります.それは板金が持つ”べこつき”です.ほとんどのクライアントは「なるべく”べこつき”がないように」とおっしゃいます.ところがこのクライアントたってのご希望は,「なるべく板金ならではの”べこつき感”を出して欲しい」ということでした.

今回とても腕の良い板金屋さんだったこともあり,「べこつかせてくれ」と要望を出すのがどれほどの無茶振りであったことか.悩んだ末に板金屋さんが出してくれた提案は,板金材の厚みを薄くするということでした.通常0.4mmの材を使うところを0.35mmに落とし,あとは通常通り張ってもらいました.

この板金屋さんの神業のような仕事と相まって,この表面に表出した自然な”べこつき感”.雑な仕事によるべこつきではなく,無駄のない仕事が織りなす最高の?べこつき.板金仕上げにおける,究極のツンデレ表現と名付けたいと思います.


ところでこの住宅,中庭住宅のため,外部に大きく開いた窓が少ないことが外観に不思議な印象を与えています.あともうひとつ不思議な印象を与えていることがあります.それは「低さ」です.

この住宅は最高高さが,わずか5.6mしかありません.室内の過半の天井高は建築基準法で定められた最低天井高である2.1m程度に抑えられています.2階の階高は実に2.4m.驚異的な低さです.普通の住宅なら,勾配屋根の一番低いところで最高高さが決められているようなものかもしれません.

これもローバーミニや,フィアットパンダといった小型車を愛するクライアントの美意識によるものです.かくいう私も地を這うように低い空間は好みでもあり,おのずとクライアントとの合言葉は「低く,低く」となりました.


ところで,外部の足場は外れましたが,内部はまだまだ・・
内部の大工さんはなおも丁寧に丁寧に仕事を続けて下さっています.


今日現場に行くと,バルサ材で見慣れないパーツを作っていました.何かと思えば木栓.今回収納部は原則としてシナベニヤによる大工造作になるため,ビス頭を隠すために木栓をするのですが,普通の木栓だと色が濃いのでその栓が目立ってしまいます,なるべく目立たないように,と私が言ったこともありますが,バルサ材をカッターで削り出し,ビス穴に合った木栓を黙々と作っていたのでした.(ちなみにこの大工さんの趣味は,航空模型づくり)

工程遅延・・工程遅延・・・

私の頭の中でエンドレスリピートが止まりませんが汗,この大工に気が済むまで仕事をさせなくてはいけないという使命感すら覚えてきます.証拠にどこにビスを打ったのか注意して探さないと見つからないほど.クライアントにはご迷惑をおかけしていますが(滝汗),じっくりと本物の仕事をして頂きたいと切に思うのでした.