好きなアーティストの新譜を買って,がっかりすることがある.曲調がガラリと変わっている.人はそれを「発展」であるとか「革新的」であるとか,体の良い言葉を与えるけれど,本当はわかっている.最初のやつが一番良かったと.

創造を生業とする仕事は難しい.創造する側は常に自分の殻を脱ぎ捨て,新しい自分を発見したいと思う.それは時に勇気と称されることもあるけれど,実際には違う.退屈こそが最大の脅威.マンネリを避け,新しくなくてはいけないという強迫観念が我々を襲う.新しさこそが創造であると.

ところが社会の受け止め方は違うのだ.定まった価値をいかに持続させるか.それこそがロングセラーの秘訣である.子供の頃あって,今なお普通にあるもの.偉大なるマンネリズム.いや,それを私は普遍性と呼びたい.

プランニングをしていてふと気づく.またこのパターンかと.世に建築のスタイルは無数あれど,なぜ自分はこの枠の中に収斂してゆくのか,自分でも説明が付かない.気づけばこれなのだ.そして少し嫌になる.これは自分が小さな枠の中に囚われ,もっと大きな価値が見いだせていないのではないか.退屈こそが最大の脅威.新しくなくてはいけないという強迫観念が私を襲う.

ところが社会の受け止め方は違うのだ.定まった価値をいかに持続させるか.それこそがクライアントを満足させることのできる唯一の方法なのである.だって,クライアントは”リオタデザインのカタログ”を見て決めたのだから.開けたら違う商品が入っていたのでは,クレームになってしまうのである.

それを私は普遍性と呼びたい.
サザンがサザンであるように.ユーミンがユーミンであるように.