14. 04 / 25

CRANE

author
sekimoto

category
> 仕事



CRANEは約10年ほど前,2005年竣工の住宅で,私にとってはじめての住宅,ILMAを雑誌で見て設計を依頼して下さったクライアントの住宅だった.

ご予算もILMAに負けず劣らず厳しく,困難を極めた調整プロセスを経てようやく着工した住宅だった.ローコストながらも一切手を抜くことなく,当時は私も若かったこともあり,鉄骨のディテールの端部に至るまで,現場には無理を言いながら神経をすり減らして監理をした住宅でもあった.

そんないろんな意味でギリギリのディテールで納めたこの住宅は,私にとっては思い入れのある仕事の一つになっている.そんなCRANEのクライアントからご相談を受けたのは去年のことだった.ご事情から別の住宅に移ることになり,移転先の住宅のリフォームもお願いしたいとのこと.ところが,当時はこちらもてんてこ舞いで,仕方なく事務所OBの柴くん(akimichi design)にこの仕事をお願いすることになった. 

ところが話はここで終わらない.
空き家となるこのCRANEに,結局柴くんが入居することになったのだ.

彼なりにリフォームを施して,ちょっとばかりアレンジされたこの家に今彼は住んでいる.因果というか,ご縁というのは不思議なものだ.

私も当時クライアントのために設計した家に,まさか自分の元スタッフが住むことになるとは想像もしていなかった.もっともクライアントにとっては,建築を理解する人間に大切に住んでもらうことができ,彼も念願の自宅兼アトリエを手に入れることができたのだから言うことはない(元々アトリエ併設の住宅だった).

そして私としても・・自分の設計した住宅が第三者の手に渡ることなく,しかも元スタッフが”常駐監理”してくれるというオマケまでついた.みんなハッピー.
クライアントと柴くんの,益々のご発展をお祈りしています.

(私のサイトの作品写真で,トップの写真に写る二人の人物が実は柴くんとクライアント.竣工して数年後に,二期工事であった外構工事が完了した際に撮った一枚だったのだけれど,なんだか未来を予言しているような一枚だったと後で気づきました)

Before/After(右側が改装後写真)