
今朝ポストを覗くと,思わぬ人からの手紙があった.7年ほど前に名古屋で設計した「EEL」と名付けた住宅の娘さんからだった.
当時はまだ小学生だったと思う.この春に大学に入学し,現在は埼玉県内に一人暮らしをしているというそんな報告のお手紙だった.この子は当時から年の割にはしっかりしていて,毎年うちの子のために絵本を選んで送ってくれるという優しい子だった.(これが外れがなくて,どれも100%うちの子のお気に入りになっていた)
でも最近は距離的なこともあってお互いしばらく連絡も取っていなかったというのに,今でもこうして私のことをちゃんと覚えていて,お手紙をくれたことにちょっと感動してしまった.メールじゃなくて手紙というのがまたいい.
このEELという家は,私が初めて設計した「ILMA」という住宅の施主のお兄さんの家で,このお兄さんご家族というのも,本当に温かでとても良いご家族だった.私が行くと,もう新幹線がなくなる直前まで帰してもらえないという.当時はそれがまた私も嬉しかった.名古屋という土地が大好きになったのもこのご家族のおかげだと思う.
手紙の写真はそんな「EEL」の吹き抜けから見上げた空.
ああ,そうかあの家庭で,あの家で,この空を見上げながらすくすくと育ったんだなぁ.なんだか私もこの子を育てた家族の一員のような気分になってしまった.そしてその分私も歳をとったんだな.
「名古屋にあの素敵な家が待っていると思うと,全力で頑張れます」
手紙はそう結ばれていた.そっか.じんわりと幸せな気分になる.
困ったことがあったらいつでも連絡してね.
