私が独立して初めて設計した住宅「ILMA(2003)」も竣工して10年が過ぎ、昨年よりキッチンを中心とした改修の相談に乗っていました。それが本日ようやく完了です。エークラフトの伊藤さん、今回も素晴らしい施工をありがとうございました!
ILMAはわずか13坪の敷地に建つ、私の大学の友人の家です。その狭小ぶりも、飛び抜けたローコストも、当時の私にははじめてのことばかりで、逆に怖いもの知らずで突っ走ることができた家でした。
同じく建築を飯の種にする友人との設計議論が盛りあがったせいもあるかもしれません。痛い思いや危ない思いもいっぱいしましたが、ILMAは無事完成し、私にとっては初期の代表作となりました。この住宅ができたおかげで、私も少しは設計で食べていけるようになったとも言えるかもしれません。
さてそんな若気の至りで突っ走った家でしたから、クライアントの友人も住みこなしにはずいぶん苦労したと思います。でも一度もクレームらしいクレームをもらったことがありませんでした。それには本当に友人に感謝しているのです。
そんなILMAも改修の時を迎えました。私もその後いろんな設計の経験値を蓄え、友人夫妻も同じように歳を重ね、子どもができ、そんな今だからこそ考えられるキッチンの形やライフスタイルを、また十数年前のあの時と同じように膝を突き合わせて何ヶ月も打合せを重ねてきました。
・・こんなことを言ってはなんなのですが、もう今となってはこういう小さな改修仕事をうちの事務所では請けられなくなっているんですね。実際スタッフは手一杯で、こういう仕事に担当をつけることができません。
だから今回は私がすべて一人でやりました。図面もすべて私が描いて、打合せも、現場も一人で通いました。そう、だからあの時と同じなんです。正直家具図を自分で全て描いたのは久しぶりですよ。ちょっと楽しかったですけどね。
できあがってみて、やっぱり感慨がありましたね。
あれから10年。そして、この先10年。
あと10年もしたら、娘さんも家を出て行くかもしれないな。そうしたら第三期計画がはじまるのかもしれない。そうやって永く住みつないでいってもらいたいなあと思います。
なんといっても、この家は私にとってはじめての家なんですから。もう何十件も設計してきましたけど、この先も何十件も設計してゆくと思いますけど、はじめての家はいつまでたってもはじめての家なんです。
下は当時との比較写真。
若かったねえ!でもやっぱキミ、今の方がいい顔してるよ。
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