建築家仲間の津野恵美子さんの「林を抱く家」のオープンハウスへ。いわゆる豪邸。それも久しぶりに見る規模でした。これだけの規模をグレード感を落とさず、嫌らしさは出さず、品格を落とさずやり切るというのは、単に技術や経験だけではなく、津野さんの持つしなやかな感性のなせる業なのだろうと思います。まずそこに感服しました。
設計をまとめる作業は、文章を書く作業に似ています。どこで句読点を打つのか、改行をするのか、言い回しから言葉の選び方まで、何度も何度も通読して、引っ掛かりを覚えては書き直し、というのを繰り返すことで文章は肉体化し、難解な文章も難解なりに筋が通ってストンと落ちていきます。
私は建築を見るときは、文章を読むようにその人の文体を楽しむのですが、津野さんの文体はとても平易で、長編小説なのにすらすら読める感覚があります。それでいて、チャプターごとに必ず見せ場を作っていて飽きさせない。ずいぶん変わった言い回しをするんだなとか、似たような表現は自分も使うのに全く世界が違って見えるとか、その発見がとても楽しい。
それは津野さんが人任せにしないで、誠実に部分と向き合っているからなんでしょうね。あたたかな空間って、自然素材を使っているかどうかではなく、細部まで神経が行き届いているかどうか、本人が責任を持ってやり切っているかどうかに掛かってくるのだと思います。
そんなことを思いながら見学しました。執筆に丸3年かかった長編小説を2時間で読んだような贅沢な時間でした。津野さん、ご案内をありがとうございました!
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