12. 09 / 17

荻窪moiのことが

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sekimoto

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先日竣工写真を撮って頂いたカメラマンさんに,「この間読んでいた本に,カフェmoiらしきお店のことが書かれていましたよ」と教えて頂いた.カフェmoiは2002年にオープンしたカフェで,私の独立後の初仕事でもある.

本というのはガンに侵されたとある編集者さんの闘病日記で,早速購入して読んでみると,近所にいいカフェ(荻窪時代のカフェmoiのことらしい)を見つけたという記述があった.以下抜粋すると,

『まあとにかく,寝転んでネット上をうろついていたら,なんと見つけたんですよ,荻窪にカフェを!この街自体の住み心地はそう悪くないと思うのだが,近所というか最寄り駅にカフェがないのが不満の一つだった.それが解消できる.早速,場所をチェックして行ってみることにした.(中略)青梅街道から少し入ったところにあるそのカフェは10席ほどの小さな店.フィンランド系のインテリアを使った,茶室をイメージした店だという.コーヒーとクロワッサンを注文.どちらも美味.客は近所の病院の看護婦と思しきニキビ面とブサイクの2人組.かかっている音楽やコーヒー,食器(カップ&ソーサーはアラビアの特注,冷タンはもちろんイッテラ製!)は文句ないのだが,イスが硬くてオレには長居できない感じ.白木のイスで見栄えはいいけれども,クッションが付いていないとキツいッス(別にダジャレじゃないけれど).隠れ家的に使いたいので店情報は秘密』
(本文P81より)

記述はちょいちょい間違っている(アラビアの特注→梅田弘樹さんのオリジナルデザイン,イッテラ→イッタラ)のですが,きっとこうして当時マイナーな存在だったカフェmoiを,ちょっぴりニヤリとしながら”発見”して下さった方はきっとたくさんいらっしゃるのだろう.当時闘病されていた著者の方の”隠れ家”にもなっていたようで,それはそれで嬉しく思った.

残念ながら著者の奥山貴宏さんは,闘病の甲斐なくすでにお亡くなりになっておられるらしい.ご冥福をお祈りすると共に,荻窪にあったカフェmoiを気に入って下さったことに,この場をお借りして御礼申し上げます.

『32歳ガン漂流エヴォリューション』 奥山貴宏(牧野出版)


[荻窪時代のカフェmoi] (写真:根津修平)