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「ほら,今人気のニューヨークメトロのタイルってあるじゃないですか」
クライアントにそう振られたって,涼しい顔で「あぁ,ハイハイ」と言わなくちゃいけない時だってあるわけです.
そんな「某人気スタイリストさんが広めたとされる今巷で人気のニューヨークメトロに張られていたタイル」なわけですが,プロであるはずの私はなにも知りませんでしたが,なにか.
このタイル,精度がひどくて厚みのばらつきが半端ないらしいんですが,このばらつき感がウリなのだとか.翌日,わが優秀な部下ウシジマ君は早速このタイルが実際に使われている店舗を調べあげ,メモをこっそり手渡してくれたわけです.見に行きましたよ,さっそく.ふ~むなるほど.
で,早速今日から使おうと思います.タイルじゃなくて.
「ほら,今人気のニューヨークメトロのタイルってあるじゃないですかぁ?」

先日とある小説を読み終わりました.
いわゆるアトリエの建築設計事務所を舞台にしたお話です.
「火山のふもとで」(松家仁之・新潮社)
世に建築家を主人公にした小説やドラマはあまたありますが,どれもこっちが恥ずかしくなるような設定が多くて,中にはそういう人もいるんでしょうけど,おおよそ事実とかけ離れていることも多く,そういうものを目にするたび社会の建築家に対する誤解や偏見(ときに悪意)が反映されているようで微妙にへこみます.
この小説は実にリアルです.こんなに誠実に,そしてさわやかに建築に対する愛情や哲学を散りばめた小説ははじめてです.実際私が読んでも違和感を感じないどころか,そのまなざしには共感するところも多く,登場する”先生”の言葉には尊敬の念すら覚えます.
『建築というのは,トータルの計画が大事で細部はあとでいい,というものではけっしてないんだよ.(中略)細部と全体は同時に成り立ってゆくものなんだ』
『(胎児の)指はびっくりするくらい早い段階でできあがる.(中略)建築の細部というのは胎児の指と同じで,主従関係の従ではないんだよ.指は胎児が世界に触れる先端で,指は世界を知り,指が世界をつくる.椅子は指のようなものなんだ.椅子をデザインしているうちに,空間の全体が見えてくることだってある』
『設計をするとき,火事になりにくい家,地震で崩れ落ちない家をできるかぎり心がける.それは建築家の大事な仕事だ.でもかりにだよ,東京全体が焼け野原になるような大震災があったとして,自分の家だけが燃えず崩れずでいいのか.(中略)防災をあまりに徹底した家というのは,これは要塞であって,住宅ではない.居心地がいいかどうか,はなはだ怪しい.要塞に住むなんて,つねに災厄を考えながら暮らすようなものだからね』
『建築は芸術ではない.現実そのものなんだよ』
◇
主人公である建築家・村井俊輔のモデルとなっているのは,建築をかじっている人であればその思想,断片的なエピソードから,故・吉村順三氏であることは容易に察しがつきます.
そして村井事務所の家具担当で,ちょっと皮肉っぽい「内田さん」は誰がモデルになっているかも,また村井のライバルで国家的建築家・船山が誰を差しているのかも想像がつくことでしょう.(実際,作者の松家さんは”内田さん”に自宅を設計してもらったクライアントさんでもあります)
また村井の北欧建築に対する造詣の深さや,アスプルンドやアールトの建築を語る場面も多く出てきます.私も知らなかった事実も多く書かれていて勉強になりました.
ちなみに,ストーリーはそんなコテコテの建築小説ということではありません.そこがいいところです.ベースは設計事務所を舞台にスタッフの目から描いたラブロマンスであり,夏の間は軽井沢にある「夏の家」に事務所の拠点を移す村井事務所の,国立現代図書館コンペを巡ってのスタッフ相互の心理や人間関係などを丁寧に描いた作品です.
建築が好きな方には特にお勧めの小説です.もちろん建築に無知な人でも十分に引き込まれると思いますので,是非秋の夜長に読んでみてください.

「建築知識(エクスナレッジ)」最新号が届きました.今号は「確認申請を一発で通す方法」.リオタデザインからも3事例ほど取り上げて頂いています.
設計実務者にとって,確認申請はひとつの難関.もちろん一級建築士試験並みの”杓子定規に法令通り”の仕様であれば何も苦労はないわけですが,やはり準防火地域でも木は使いたいし,言っても住宅に区画だ鉄扉だとそうゴツいことはやりたくないのが人情です.一見涼しく,何事もなかったかのように裏では法解釈の限界に挑むという,とまあ建築のデザインというのはその半分は法規とのカケヒキで決まると言っても過言ではありません.
今号うちからの事例は言うに及ばず,まあ皆さん実にたくましいですね.まさかそんな通し方があったとは!目から鱗とはまさにことのことです.
ただ我々もこれまで申請ではずいぶん苦労して,ひそかに独自の抜け穴,もとい”解釈”を見つけてはニンマリしていたのですが,これが公になると”当局”の対抗措置(封じ手)がちょっと心配です.審査機関によってはハナからダメだと言うところもあると思うので,事前に要確認ですね.

台風18号の影響で吹き荒れた突風は,熊谷市を中心とした埼玉県北部の地域に甚大な被害をもたらしました.
うちも2009年に熊谷で1件住宅を設計しています.「かたつむりハウス」といって,中庭を囲んだ木造2階建ての住宅です.心配していたのですが,お施主さんのKさんよりメールがあり,ご家族,家屋共に無事だったとのこと.ほっと胸をなで下ろしました.
Kさんからのメールを以下一部引用させて頂くと,
「突風の発生時は、もの凄い轟音と地響きで目がさめ、家ごと吹き飛ばされると、恐怖でいっぱいでした」
「両隣りの家は屋根瓦やカーポートの屋根がはがれたり、窓ガラスが割れたり、雨どいが取れてしまったり、、、裏のコンビニはガラスが割れて、商品が散乱していました。家の前の電線には、大きなトタン屋根が布切れの様にぶらさがっていました。 庭にはどこからか飛んできたガラスや瓦の破片、トタンが散乱し、昨日と今日はずっと掃除をしていました」
当時の様子はとても想像出来ませんが,さぞや恐ろしい状況だったとお察しします.
ところがお住まいの建物には何かがぶつかってへこんだ跡はあったものの,修繕の必要はなく,雨樋ひとつ飛ばずほぼ無傷であったとのこと.周囲に甚大な被害をもたらした災害の中,この家だけが受けなかった被害は奇跡のように思いました.
要因を分析すると,中庭を囲んだ壁が要塞のように突風を阻んだこと,駐車場の屋根も建物と一体で作ったこと,確かな施工,そしてなんといっても低く低く抑えたこの建物のプロポーションが,風を受け流し,建物へのダメージを最小限に抑えたのだと考えています.
周辺にもたらした被害を思うともちろん浮かれているわけにいきませんが,私にとっては,直接関係したKさんがご無事であったこと,そして我々が作った家が無傷でKさんを守ったということが何よりも嬉しく,誇らしく思いました.
当時遠景のこの住宅を眺めては,なんかフェラーリみたいだね,風を切って進みそうだね,と冗談交じりに話していたことを思い出しました.



