iPad2


APPLE | iPad2
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新しい道具や価値が世の中に出てきた時は,それが何に使うモノなのか,どう評価すれば良いのか判断に迷うことが多い.しかしそれを実際に使ってみると,遠巻きに眺めていた時には想像もつかなかった新しい価値の発見がそこにはあるものだ.

iPadも最初は薄いノートパソコンくらいにしか思っていなかった.指で触って操作できるということがどういうことなのか,だからなんなのか,一般的な好奇心以上の関心を持つこともなかった.

ところが,とある現場でどうしても写真で説明したいことがあり,iPhoneに入れていた小さな写真データで説明したことがあった.咄嗟のこととはいえそれが手軽かつとても便利で,以来打合せなどでも頻繁にiPhoneを取り出しては写真を見せるということが多くなっていった.

そしてその期に及んでようやく僕は理解したのだった.iPadは大きいiPhoneであり,iPhoneの持つ機能のうち「データを見せる」ということに特化した新しい道具なのだということを.

僕は事務所でのプレゼンの際,分厚いポートフォリオを机いっぱいに広げているのだけれど,これが実に重くてかさばるのが悩みの種だった.しかもそれを毎回まとめるのは意外と大変な作業で,最近では整理できていない作品写真も溜まる一方になっていた.

それが画像ファイルを入れておくだけで,iPadはどこでも持ち歩けるポートフォリオに早変わりする.写真の数にも制限はないし,ズームも自由自在だ.打合せのたびに重いカタログを用意したり,イメージ写真をカラーコピーして資料を作成する必要もなくなるだろう.おそらく今後は仕事で片時も手放せなくなるに違いない.

iPadに限らずApple社のデザインの優れたところは,それまでにあった価値を美しくデザインし直したのではなく,モノを使う行為や価値そのものをデザインによって創り出している点にある.

我々が行っている設計行為も,生活をより豊かに,より便利に美しくデザインすることを目指してはいるけれど,逆にデザインによってどこまで新しい行為をそこに創出できているかと問われれば心許ない.Appleのデザインに学ぶことはまだまだ多い気がする.

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