CROQUIS


maruman | CROQUIS SS2
Mitsubishi | uniball eye
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新しいプロジェクトがはじまる時,必ず開くのがこのスケッチブックCROQUIS(SS2).そしてサインペンはuniball.この組み合わせは鉄板で,独立して以来変わることがない.これがなくなったら…ちょっと想像するのが怖いくらいでもある.

どの職種でもそうだと思うけれど,プロなら必ず自分の仕事の流儀を持っていて,この道具でなければ仕事ができないという一品が必ずあると思う.作家なら万年筆,我々なら最も神経をとがらせるエスキースの道具というのはかなり重要なアイテムのひとつだ.

このCROQUISの良いところはその紙質にある.和紙のようにやわらかく,手触りも絶妙,鉛筆やインクのノリも抜群に良い.

私のCROQUISの使い方は,通常見開きの右側を使うところを左側を使う.そこに鉛筆でプランの輪郭をラフにスタディしたらもう一枚めくってその上に重ねてまた描いてゆく.

いわゆるトレペと同じ使い方になるわけだけれど,トレペのように散逸せず,最後まで切り取らずに使えるのが良い.だからエスキースの履歴をそのまま記録としても残しやすい.これは裏表で紙質が変わらないCROQUISならではの使い方だと思う.

鉛筆で重ねていった線を,最後に上書きするのがuniballの役割である.uniballの良いところは顔料インクで耐水性もあり,とにかく濃く,安定した線を描けるところだ.鉛筆のぼんやりした線を最後になぞり,そして消しゴムで下書き線を消すと,そこにくっきりした輪郭を持つ空間が浮かび上がる.

その瞬間,ぼんやりと迷いのあった思考の”もや”のようなものがぱっと晴れる気がする.「できた」とひとりつぶやく瞬間でもある.

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