昨日,北欧家具TALOさんより今度の「隅切りの家」に納品予定のartekの家具が届きました.ひとつはアールトのスツール60,もうひとつはイルマリ・タピオヴァーラのドムスチェアです.
後ろに見えているのがドムスが入っていた段ボール箱.でかいです.椅子の歴史は常に輸送(deliver)の歴史でもありました.椅子を運ぶのってほとんど空気を運んでいるようなものですからね.だからその輸送コストや,在庫コスト(かさばる)も含めて椅子の値段は決まるのです.
一方の箱入りのアールトのスツール.すべてバラしてこの状態で届きます.中をあけるとパーツがびっしりで,隙間がありません.実は語られないアールト家具の秘密がここにあります.アールトの量産タイプのダイニングチェアやスツールはこのように全てバラす(assemble)ことができます.こうすることで,異なる椅子相互のパーツの融通性はもちろん,工場で組み立てる手間も省け,バラして運ぶことで在庫や運送コストをギリギリまで抑えることができるのです.
これは極めてフィンランド人的な合理主義的発想.ネジを見せないのではなく,むしろ見せてでも徹底的に無駄を省く.そのことによって,良心的な価格で誰でもこの世界的名作を手にすることが出来るのです.できればタピオヴァーラもアセンブルできるようになるといいですね.
ところでもう一つの写真は,フィンランドから帰ってくるときに,友人のヤリ・イェッツォネン氏の工房にあったペンキまみれのドムスチェアをもらい受けて帰ってきたものです.こんな汚い椅子いるのか?とヤリさんにも怪訝な顔をされましたが,私がフィンランドで大好きだった椅子の一つです.
ちょっと前までは,ヤリさんのところの椅子のようにどこにでも転がっていましたが,TALOの山口くんによると,最近の世界的な人気の高まりでヴィンテージは本国でももうほとんど出ないそうです.出ても程度が悪く,その割に法外な値段がつくのでTALOももう積極的には仕入れていないのだとか.
納品予定のドムスは新品です.秋口に追加で黒のタイプも届きます.あ,そうそうTALOさんはヴィンテージだけでなく新品のartekも扱っていますよ.お店(倉庫?)も楽しいので,興味のある方は是非足を運んでみて下さいね.
北欧家具TALO http://www.talo.tv/
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