〇新国立競技場設計コンクール|http://www.jpnsport.com/

昨日の新聞に大きく見開きの広告がありました.2020年の東京オリンピック招致に向けた新国立競技場建設コンペの告知.建築家のみならず,一般の人も思わず「お!」と思った人は多いかもしれませんが,特設サイトから応募資格を見て思わずびっくり.

|① 次のいずれかの国際的な建築賞の受賞経験を有する者
|1) 高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)
|2) プリツカー賞
|3) RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル
|4) AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル
|5) UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル
|② 収容定員1.5万人以上のスタジアム(ラグビー、サッカー又は陸上
| 競技等)の基本設計又は実施設計の実績を有する者

これを翻訳するとこういうことになります.
「オリンピックに出場できるのは,過去に出場したことのある人か,金メダルを取ったことのある人のみ」

これではドラマは生まれません.この条件を満たす人は,国内の建築家でもごくわずかしかいません.あとは大手の組織事務所でしょうか.それならこんな広告を打つ必要あるの?とも思います.

またサイトの冒頭には「プロセスには市民誰もが参加」ともあります.でもプリツカー賞といったら,建築界のノーベル賞とも言われている賞です.海外のプリツカー賞建築​家の案などに決まったら,どこまで「みんなと一緒につくる」ことができるのか,甚だ疑問が残ります.

これはつまり東京都がオリンピック招致のために打ち上げた政治的プロパガンダ,言い換えれば出来レースなのではないか,との穿った見方もできます.審査委員長に安藤忠雄氏というのも,なんともはや….

オリンピック招致目的でもいいと思います.ただそれならば正々堂々と,オリンピックの精神に基づき,すべての建築士資格を持つ国民から案を募り,頂点に立つ案を決めるというのがフェアなやり方だと思います.標語に掲げる"For All"のAllって,一体誰のことなんでしょう?