12. 01 / 05

一心不乱に

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sekimoto

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> 思うこと


「忙しい」という字は「心」が「亡くなる」という意味らしい.それを聞いた時はなるほどと思い,何事も「程々が良いのだ」と理解していた.

けれど本当は,この場合の「心」とは,おそらくは「雑念」や「煩悩」みたいなもので,人は一心不乱に物事に打ち込むことで無私の境地に至ることができる,自分自身からも解放されるということなのではないかと思うようになった.

独立して10年になる.師の事務所を離れてあらためて実感したことは,建築を基本から考える尊さだ.そこにはけして建築雑誌の表紙を飾るような派手さはないかもしれないけれど,ひとつひとつを確実に納め,誠実に仕事に向き合う姿勢を学んだ.

内向きな技術論やデザインに溺れることなく,日々ひたすらに素振りをくり返し,ランニングを重ねてきたことが今の自分をつくっている.

よく今年は飛躍の年にしたいという人がいる.けれど飛躍とは自ら願うものではなく,日々ひたすらに状況に向き合い,最善と思える判断を積み重ねていった先にしかないのだと思う.

これからの10年もまた,日々最善と思える判断を積み重ねてゆきたい.愚直に素振りとランニングを続けてゆきたい.一心不乱に仕事に打ち込み,自分自身から解放されたいと願う.