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sekimoto

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> 思うこと



今日はルイスポールセン主催のライティングセミナーへとお邪魔してきた.
ルイスポールセンと言えば,PH5をはじめとした数々の名作照明を生み出してきたデンマークの名門照明ブランド.今日のセミナーでは,ルイスポールセンの照明を用いた美しい住宅事例などのスライドを数多く見せて頂いた.

僕は個人的に聞いてみたかったことがあった.それは昨今の白熱灯を全廃しようとする動きについてだ.というのも,ルイスポールセンの光の原点は白熱灯の光であり,それが安易に本質的に配光や演色性の異なるLEDや蛍光灯に変わることはないだろうし,できないだろうと思っていたからだ.

ところがそんな僕の質問に担当者はあっさりと答えてくれた.
「たとえばこれは蛍光灯です.それ以外の照明も,ここにあるほとんどの照明には既にLEDが使用されています」

愕然とした.かつては白熱照明の代名詞でもあったショールームの名作照明のほとんどには,既に白熱灯ではなくLED電球が使われていたのだった.言われるまで全く気づかなかった.そのくらいLEDの技術水準も上がってきているのだ.わかっているつもりだったけれども想像以上だった.どうやら遅れていたのは完全に僕の方だったようだ.

僕も住宅の設計では,今ではほぼLEDに移行しつつある.でもまだ信用していない部分もある.例えばペンダント照明の調光機能など,白熱でなくてはできない演出の領域もまだ多いからだ.単に省エネという名の下に白熱を全廃しようとする動きには,僕は断固として反対だ.

ところが唯一の拠り所であったルイスポールセンにも賛成票を投じられてしまった.まさかルイスポールセンにLEDを灯す時代が来るとは思わなかった.この日は僕にとっての照明に対する考え方の,ひとつの転換点になったような気がする.