Finnish Design


僕の好きなフィンランド・デザイン

フィンランド・デザインの特徴というと何だろうか。機能的、シンプル...どうも言葉で表現すると、どれも陳腐なものになってしまう。ここでは僕が生活の中で感じた「これぞフィンランド」と思えるデザインを紹介してゆきたい。そうした一群のなかに一本の筋を見いだすことができればと思うのですが...。



Vol.16
(最終回)
01/11/01

Teema / Kaj Frank
1981


 い間、敢えてこのページに載せてこなかったデザイナーがいる。「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、フィンランドにおける20世紀最高のデザイナー、カイ・フランクである。

カイ・フランクを他のフィンランドのデザイナーと同列で語ることは難しい。カイ・フランクを語る事はフィンランドデザインを総括する事に他ならないからだ。古き良き、フィンランドデザインの黄金期を築き上げたデザイナー。いま再びそのデザインに目を向ける時期に差しかかっているように思う。

本来あるべきモノの姿。。その形には一片の逃げも感じられない。コーヒーカップのデザインとして欠けているものがここにあるだろうか?あるいは余計なものがあるだろうか?もののあり方を真っ直ぐに捉え、最高の感性で磨き上げられたプロポーション。どこにも新しさはない。でも古くなることもないだろう。

これをやられたら他のデザイナーはもうお手上げである。どうしようもない。結局これを越えるためには、必要なものを外すか、余計なものを付けるかしかない。つまり極論すれば、カイ・フランク以降のデザインは前述の2通りに大別されてしまうのだ。

カイ・フランクというデザイナーを産んだこの国はやはり偉大なデザイン大国だと思う。迷走を続けた90年代を経て、今世紀どんなデザインがこの国から産まれるだろうか。とても楽しみである。


関連ホームページ
Arabia "Kaj Frank"    アラビア社・カイフランク




Vol.15
01/07/11

Domus Chair / Ilmari Tapiovaala
1946


 ルシンキのドムス・アカデミカ(学生会館)の為にデザインされたタピオヴァーラの代表的な椅子。どことなくイームズのLCWを思い起こさせるプライウッドの椅子だが、デザインされたのはLCWと同じ1946年というのは時代のいたずらだろうか。

ところがイームズの洗練と比べたら、タピオヴァーラの椅子はどこか不器用でユーモラスな形をしている。しかし見れば見るほど、使い込む程にどんどん愛着が湧いてくる。なぜかとてもホッとするデザインなのだ。

そんなデザインの特徴は、フィンランドデザインの性格を良く表している。「洗練」ではない。もっとその向こう側にある土着的ともいえるような素朴さが僕の心を捉えて離さないのだ。

フィンランドという国の魅力の一つでもある。



関連ホームページ
Ilmari Tapiovaala    イルマリ・タピオバラ




Vol.14
01/05/31

Bytepak / Arni Aromaa


 フロッピーディスクやZipを入れて移動するケースにはどうも良いデザインがない、と思っていたらここフィンランドで見つけた。その名もバイトパック。それぞれフロッピー、ZIP、CDの3種類があり、色も実にたくさん揃っている。

使い方は実に簡単。カセットのようにスライドインさせて持ち運ぶ。さらに上部の丸い穴の部分で複数枚を連結する事も可能だ。特にこちらフィンランドではZIPドライブが主流なので、このZIPケースにZIPを入れていつも僕は持ち歩いている。これならどこの端末からでも情報をストックする事ができるからだ。

果たして日本ではいくらで売られているのかわからないが、こちらでは1枚約200円ほど。おみやげにも最適だ。


関連ホームページ
Bytepak    バイトパック社




Vol.13
01/04/22

Low-Floor Tram / Hannu Kahonen
1998


 せわしなく路上を往来するトラムはヘルシンキのシンボル。その古めかしいボディもようやく新型に取って代わろうとしている。デザインはハンヌ・カホネン。フィンランドのトップデザイナーだ。

ヘルシンキでは乳母車(バギー)を引く母子は交通費が免除される。つまり交通機関はすべてタダ。そしてバギーと共に乗車しようとする女性に、みんな自然体で力を貸そうとするフィンランド人の姿はいつ見てもすがすがしいものだ。

地上スレスレに車高が設定された今回の新型車両はそんな母親や老人にとって、もっと親切な設計となっている。もちろん一般客にとっても乗り降りがしやすい。こういうのをユニバーサルデザインと呼ぶ。

もちろん車高以外にも最高にその車体の線は洗練されており、市内を走る姿はいかにもエレガントだ。


関連ホームページ
CREADESIGN    彼の主宰するデザイン事務所



Vol.12
01/04/19

Rapala / Lauri Rapala
1936


 小学生、まだ釣りを始めて間もない頃、ラパラといえばルアーの代名詞だった。当時はそんな簡単に買える値段じゃなかったから、一つ買ったら怖くて使う事なんてできなかった。子供時代の宝物。

森と湖の国フィンランド。水は冷たく魚はそう大きく育たない。Lauriは当時畑仕事のかたわら魚を捕って暮らしていた。毎日静かに湖を眺め、魚の習性を知り尽くしていたLauriに、ある考えが浮かんだ。

コルクを削ったボディにチーズを包む銀紙、それにラッカーが買えなかった彼は写真のネガを溶かしてコーティングとし、かくしてRAPALAルアー第一号は生まれた。
おそるおそる水に浮かべてみると次々と魚がアタックを仕掛けてくる。当時8ポンド以上のマスを売ると2週間の肉体労働分の収入が入った時代に、それで一日に600ポンドのマスを釣ったというのだから尋常じゃない。

今なお世界中のアングラー達を魅了しつづけるラパラ。フィンランドの自然から産まれたカタチである。



関連ホームページ
Rapala ラパラ・ノールマルク社



Vol.11
01/03/18

Cast Iron Pot / Timo Sarpaneva
1960


 ほうろうにチークの柄が刺さったユーモラスな鍋。現在フィンランドの骨董街でも未だに人気が根強い。チークの柄は簡単に取り外しができて、実はその柄で熱くなった鍋のフタを開けられるようになっている。取り外しが出来るのが仇になって、現在ではこの柄の部分だけが紛失してしまっているケースも多いのが残念である。

デザイナーのティモ・サルパネヴァもまたフィンランドを代表するデザイナーの一人である。彼の発想の原点には常に生活者の視点がある。些細な生活道具であっても、美しい道具に囲まれた生活というのは楽しいと思う。彼の生活を楽しもうとする姿勢に大いに共感する。

彼の作品ではガラスを使ったものが多いが、僕はそんな繊細な一品よりもこの丈夫で実用的な一品が特にお気に入りである。



関連ホームページ
Timo Sarpaneva 作品紹介など



Vol.10
01/02/27

Scissors / Olof Backstom
1967


 この形に見覚えはありませんか?

フィスカルス社は創業350年を誇るフィンランド最古の工業メーカー。フィスカルスはこのメーカーが誕生した土地の名前でもあるが、フィンランドで「フィスカルス」といえばこのハサミの事を指す。

あれ、こんなのウチにもあるぞ。でもよく見てほしい。おそらくフィスカルス製ではない。このデザインは、世界で最も模倣されているフィンランドデザインの一つなのである。

握りやすいグリップと丈夫で鋭い刃。これ以上の機能がハサミにとって必要だろうか?全くをもってフィスカルスは究極のハサミである。ハサミを正しくデザインしようと思ったらフィスカルスに行き着く。従って現代のデザイナーは不幸である。

フィスカルスを越えるハサミを僕はまだ知らない。



関連ホームページ
Fiskars Homepage フィスカルス・ホームページ



Vol.9
01/02/09

Metro / Antti Nurmesniemi
1982


 オレンジ色の、なんとなくユーモラスな車体がプラットフォームに滑り込んでくると、静かな地下鉄駅がぱっと賑やかになる。バスやトラムと同様、市内と郊外を一直線につなぐ貴重な市民の足。岩肌が露出した地下鉄駅というのもヘルシンキならではである。

海外で地下鉄に乗る時は少し緊張する。多くの犯罪は地下鉄構内に巣くっているのだ。しかしヘルシンキの地下鉄はその限りではない。車内共に統一されたオレンジ・カラーは少なくともそんなメトロの暗いイメージを払拭している。

昔フィンランドにも興味がなかった頃、一枚の住宅写真を見たことがある。非常にモダンで上品なその住宅を一目で気に入ってしまったのだが、後で調べたら実はこのデザイナー自身が設計した彼の自邸であった。他にもU字をした有名なサウナスツールがあるのだが、それもまた彼のデザインであった。マルチな才能。これもフィンランド人デザイナーの特徴のひとつ。

メトロが去ってまた駅は静けさを取り戻す。まるでオモチャみたいな、このコロっとした愛らしいメトロに乗るのがいつも楽しみである。



関連ホームページ
Helsinki City Transport ヘルシンキ交通局ホームページ



Vol.8
01/01/24

HANGING LAMP / Lisa Johansson-Pape
1947


 写真ではよくわからないけれど、このランプシェードの表面には無数の小さな穴が開いていて、そこから光がこぼれるようにデザインされている。さりげないと言えばさりげない。ランプシェードのプロポーションにも時代を感じる。

デザイナーのパッペさんは現在のストックマンデパートにあたるオルノ社の専属女性デザイナーであった。横浜ベイブリッジなどのライトアップも手がけた日本の照明デザイナー、石井幹子さんが当時師事していた事でも知られる。今風に言えばインハウス・デザイナーであるが、その名声は世界に轟いていた。インハウスと言えどもちゃんと個人の名前で戦うのだ。

でこの照明。知識としては知っていたけれど、どこがすごいのか長い間わからなかった。しかし、フィンランド人の家に招かれて初めてわかった。彼の家にはパッペがぶら下がっていた。

和室には提灯がよく似合う。そしてフィンランドの部屋にはパッペがよく似合っていた。電気照明なのにキャンドルのように繊細な光だったのを覚えている。


ストックマンでは今でも扱っている。

関連ホームページ
Lisa Johansson-Pape フィンランド語のドキュメント
Pape Lamp その他パッペ照明、いろいろ



Vol.7
01/01/19

AALTO 60 / Alvar Aalto
1935


 なにも言わなかったら、ただのスツール。建築家アルヴァー・アールトがデザインした家具の傑作である、と聞いてもまだピンとこないかもしれない。

アールトは1935年に完成したヴィープリ図書館の設計において、それを使う市民の声に真剣に耳を傾けている。この軽く、安く手に入り、かつ機能的な椅子はかくして彼の傑作の一つでもある図書館と共に生まれた。以来実に65年以上もの間彼が設立したartek社で製造されている。

この椅子を唯一特徴づけているのがその足の曲木技術である。45x25mmの白樺の無垢材がいとも簡単に曲がっている事に疑問を持たないだろうか?これは「挽き曲げ」といわれる、古くは犬ゾリにも使われてきた技術を応用したものであり、このアールト・レッグで彼は製法特許も取っている。

しかし、そんなエピソードはアールトファンを喜ばすけれど市民には関係のない話である。実際にこの椅子が素晴らしいのは、誰もが手に入れることができ、機能的で、丈夫で、飽きのこないデザインであるということであり、フィンランドではどこの建物にも住宅にも当たり前のように彼の椅子が置いてあるという事実なのである。

家具は一部のコレクターの物でもお金持ちの持ち物でもない。アールトの椅子といえども、この国では立派な生活用品である。

この国のアールト信仰は未だ根強い。

これが「挽き曲げ」

関連ホームページ
ALVER AALTO FOUNDATION アルヴァー・アールト財団
Alvar Aalto アールト家具関連



Vol.6
01/01/17

TAPIO / Tapio Wirkkala
1952


 先日、ヘルシンキ市内で開かれていたタピオ・ヴィルッカラ展がその幕を閉じた。日本でも売っていたこのグラスの作者という事以外は知識がなかったのだが、会場に足を運んでみて実際頭を殴られたようなショックを受けた。

その自然に対するまなざし、観察力、そしてその表現力。その仕事の幅は食器はもちろん、お札のデザインから宝石、彫刻、建築にまで達し、そのどれもが今まで見たことがない程の美しさで圧倒していた。フィンランドのダ・ヴィンチである。

彼の作品は、現在では骨董市場においてどれも目が飛び出るような値段がつけられている。そんな中このTapioは’52年以来現在まで生産が続けられており、値段も手頃な貴重なピースである。

フィンランドは決して職人の国ではない。しかし彼のデザインを支えているのは紛れもなく高度な技術を持った選りすぐりの技術者達である。彼の刻んだつめたいガラスを眺めていると、その向こう側に技術者達が繰り広げたであろう熱いドラマを感じるのである。

この凍りついたようなバブルには、タピオとそんな人々の息づかいが閉じこめられているのだろうか...。


プライウッドの彫刻

関連ホームページ
Tapio Wirkkala Scandinavian Design.comのリンク
Tapio展     アート&デザイン美術館のリンク
Iittala 販売元のイーッタラ社



Vol.5
01/01/14

ARTIC / Laura Partanen
& Arto Kankkunen


 あ、これいいね。レストランでさりげなく出されたカトラリーを見てそう思った。ナチュラルなカーブとシャープなライン。柄の断面形状も楕円形をしていて握りやすいと同時に、ステンレス本来の重さを感じさせてくれる質感。あくまで正統的なアプローチに好感が持てる。
そして、ナイフに微かに刻まれたこの二人のデザイナーに興味をもった。

ハックマン社は言わずと知れたフィンランドが誇るカトラリーメーカーであるが、そのデザインにかける意気込みもまた並ではない。最近ではチッテリオやレンゾ・ピアノというように国境・ジャンルを問わずにデザイナーを求め、そのクオリティを保ってきた。

そしてこのARTIC。ハックマンのベーシック・シリーズのひとつであり、市内ではどこでも手に入れることが出来る。デザイナーのフィンランド人はほとんど無名であり詳しい経歴などはよくわからないのだが、その年齢を見て驚いた。パートナーのLauraは僕よりも1つ若い。もうひとりのArtoですらまだ35である。今世紀、目が離せないデザイナーのひとりだ。

けして意識させることのないさりげなさ。それはフィンランド・デザインの特徴の一つでもある。




関連ホームページ
HACKMAN     ハックマン社ホームページ



Vol.4
01/01/10

SAVOY VASE / Alvar Aalto
1936



 遠のフィンランドデザインである。20世紀のフィンランドは、常に建築家アルヴァー・アールトと共にありつづけた。彼の亡き後も彼のデザインは色あせることなく、常にフィンランド国民の誇りであり、生活そのものでもあったのだ。

彼はフィンランド国内のみならず、常に世界から羨望のまなざしを注がれる対象であった。しかし彼が最後までこだわり続けたのは、フィンランドの風土であり、最後までこの地を離れることはなかった。

彼は1937年のパリ万博フィンランド館のためのガラスデザイン・コンペで優勝し、そしてこの珠玉のガラス器は生まれた。同年にオープンした彼の設計によるヘルシンキのレストラン・サヴォイにも置かれたことから「サヴォイ・ベース」の名でも親しまれている。

彼は建築設計においてもフリーハンドによる曲線を好んで用いた。「アールト」というのはフィンランド語で「波」を意味しているというのも偶然にしては出来過ぎたエピソードである。彼の曲線は紛れもなく彼の内側から沸き上がってくる、より普遍的なフィンランドの原風景であったにちがいない。

直感的、あるいは感覚的ともいえるかもしれない。しかし彼のデザインは常に本質を突いていた。

サヴォイは今尚輝き続ける。



関連ホームページ
ALVER AALTO FOUNDATION アルヴァー・アールト財団
Iittala 販売元のイーッタラ社



Vol.3
01/01/06

PASTILLI CHAIR / Eero Aarnio
1967



 メリカがデザインにおいても最大に影響力を持っていた1950〜60年代。この時代のデザイン史に、フィンランドの血を引く2人の「エーロ」の名前がある。

’40〜50年代、イームズと共に時代を築いたエーロ・サーリネン。その時代を初期ミッドセンチュリーとした時、それに続く’60〜70年代の「ポップ」の中心人物のひとりが、このエーロ・アールニオだ。

FRPの出現は当時世界の家具デザイナーの創造力をくすぐるには十分すぎる出来事であった。イームズを初めとした「自由な造形」は次第に「自由な用途」へ。
この
パスティリ・チェアの大きな特徴は、その使用を屋内に限定していないところだ。水に浮かべ、雪山を滑る。そんな椅子を僕は他に知らない

彼のデザインの特徴は、その流れるようなその曲線美にある。いやそれはフィンランドデザインを語る上では決して見逃すことができない大きな特徴の一つと言える。それは同時代のパントンの椅子が持つ一種の緊張感とは対をなす安心感とでも言おうか。

この「フィンランドと曲線」の話は、また次の機会でも触れてみたい。




関連ホームページ
EERO AARNIO アールニオのホームページ
ADELTA 販売元のアデルタ社ホームページ


Vol.2

01/01/03

BENEFON Q / Hannu Kahonen
2000


 界で最も美しい携帯電話を尋ねられたら、僕は迷うことなくこのハンヌ・カホネンさんの携帯電話を口にするだろう。「何も足さない、何も引かない」。限りなくシンプルなフォルム。機能とデザインというものは彼の手にかかると、かくも美しく調和し昇華したものになるのだ。

実は縁あってハンヌさんとは一度食事を共にしたことがある。その時に「まだ試作品なんだけれど」といって彼が見せてくれたのがこの携帯電話である。本体に向かって右下にみえる小さな凸部が音声を拾う穴になっていて、左手で持つと丁度口元に穴が向くようになっているのだが、このデザインの処理に最も苦労したと彼は言っていた。

このデザインで全長10cm。重さ89g。インターネットやメールもできる。日本の携帯電話と比べても遜色ない。定価2,490mk(約42,000円)。これは高い!。

ハンヌ・カホネンさんはこの他にも実に多くのプロダクトデザインを手がけている。街中を走る新型トラム、歩道のダストボックスから、家具・錠前まで。それらの多くはフィンランドの国民が日常ほとんど意識することなく使用しているものばかり。
国民のデザイン意識の高さはこうしたデザイナーが支えているのかもしれない。




ABLOY社 AVA PADLOCKS


関連ホームページ
CREADESIGN    彼の主宰するデザイン事務所
BENEFON ベネフォン社ホームページ




Vol.1

01/01/01

EGO / Stefan Lindfors
1997




 の鼻のようにニョキっと伸びたユニークな取手が特徴的なアラビア社の人気シリーズ、EGO。当初その目立つ柄の形がどうも恣意的なデザインに映っていたのだが、その裏側のデザインプロセスを聞いて納得したと同時に「やられた!」と思った。

このデザインの優れているところは「カップの受皿が単体の皿としても使える」というところにある。通常のカップ皿はカップに合わせてそのへこみが当然小さい。これを通常の皿と同じ大きさにしたらカップの安定を欠いたものになってしまう。そこで取られた解決がカップの柄をのばしてしまう、というものだった。このシンプルなデザイン思考こそが北欧デザインの真骨頂である。
ただ延ばしただけではなくて、カップ単体としても実に計算されたフォルムになっている。ここにこのデザイナーの抜群のセンスを感じる。

デザイナーのステファン・リンドフォルスはスウェーデン系フィンランド人。’62年生まれ。インテリア・建築・彫刻・食器と手がける範囲も幅広い。今フィンランドで最高にノッているデザイナーの一人である。



関連ホームページ
Stefan Lindfors    彼のホームページ  
Arabia アラビア社ホームページ



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