Finland通信


2001/05/29
Vol. 66

"プータロ・ツアー"




我がウッドスタジオ、最後の旅行としてスイスに行ってきました。メインは最新の木の建築を見て回ること。ここスイスは現在世界の建築家から最も注目されている現代建築/木造建築の宝庫。細かいところにまで神経の行き届いたスモールスケールの街並みや風景はどれもとても美しく、どこか日本を感じさせるような、そんな国でした。

スイスで今一番アツい建築家グループのひとつ、ヘルツォーク&デ・ムーロンの作品を中心に、なかなか個人旅行で行けないようなところにまで足を延ばして見て回った。
今回の僕のお気に入りはヘルツォークのHebelstrasse House(上写真)。静かなコートヤードに佇むその空気がなんとも言えず印象に残る建物だった。

今回11人の参加者の内、外国人学生は僕ともう一人だけ。でも今回の旅はいつもの旅よりはるかに面白かった。普段はなかなかフィンランド人学生達とは完全には打ち解ける事はなかったのだけれど、旅先の空気と少ない外国人ということもあったのかみんなとても積極的に話しかけてくる。

僕は時折フィンランド人と仲良くなるための切り札として「フィンランド語によく似た日本語」の話をする。たとえば「ヘンナ(名)」や「アホ(姓)」なんていう面白い名前がフィンランド人の名前にはあるし、「プータロ」というのは「木の家」のこと。つまり今回我々はまさしく、「プータロ(プータロー)」で「ヘンナ・アホ」の集まり。そんな話題で終始盛り上がっていた。

この旅行を通じて驚いたことがいくつかある。
そのうちの一つはフィンランド人学生の語学力。ヘルシンキ工科大学の学生は日本で言えば東大生みたいなもんだからアタマのデキが違うとも思うのだが、英語、スウェーデン語はみんな当然のように堪能。それに加えてドイツ語圏ではしっかりとドイツ語で会話し英語に頼ることはない。そしてフランス語圏ではフランス語を話す。中にはイタリア語や日本語を少ししゃべる人もいる。平均五カ国語。果たしてこの人たちの頭の構造はどうなっているのだろう?ただただ尊敬。一方僕の方は英語すら彼らには及ばない。それが彼らの同情を誘ったのか気に入られたのかは定かではないが、みんなやたらと僕に親切にしてくれるし気を使ってくれる。
(でも例えば僕の前ではみんな英語で会話してくれるのだが、それは却って話題に入ることを強要されているようで疲れているとけっこうプレッシャー。わからない話をしてくれた方が却って気が楽だったりもする)

もう一つはお酒。
それこそ車で移動しながら、お昼を食べながら、夜はバーで、その後はクラブでと、とにかくずっと飲んでいる。朝五時まで飲んで次の日は七時起きの繰り返し。建築は10分で見てすぐ移動するくせにお昼に2時間くらいかけたり、湖畔のカフェを見つけるや否やビールを頼んでそのまま3時間とか。もうわけわからない。酒飲みツアーか。

なにはともあれ、建築はもちろんだけれど、フィンランド人と行動を共にして新たに友人もたくさん出来たし、彼らの奇怪な行動や驚くべき能力や人間的な温かさを再確認できた旅行でもあった。





HOME