Finland通信


2000/12/21
Vol. 27

" 正しいフィンランド人とは!? "



僕はフィンランド人が好きである。
いきなり何だと思われるかも知れないが、フィンランド人と居るときは外国人と居る気がしないのは事実である。僕が一般の外国人と接するときにいつも感じるのがその国民の持つ潜在的なテンションの違いである。どうもしっくりこない。歯車が噛み合っていない状態。平たく言うとこっちが向こうのテンポに合わせようとしてぐったりとしてしまう状態である(偏見かも知れないが、米国人・ラテン系の人は苦手。あと英国人。これは英語が早すぎて聞き取れないから...)。まあこの現象は日本人でも当てはまるときも多いですが。
以下に連ねたのは一般によく言われるフィンランド人の国民性ですが、滞在4ヶ月目に差しかかる現時点での僕のフィンランド人感を記してみたい。(また見方が変わるかも知れないけど、その時はまた追って報告します。)


1.フィンランド人は無口である。

これは当たっていると思う。でも敢えて補足するなら無駄口をあまりきかない、といった所だろうか。会話が途切れても無理して話題を探す必要もないし。僕は日本に居たときからそれほど口数が多い方では無かったから、これはかなり助かった。
例えばフィンランド人のヤリさん。僕のページでも度々登場しているが、日本に来日していた時などのテンションを知っているので、ずっとハイでフィンランドに似合わないとても陽気な人という印象を持っていたが、こっちに来てからやっぱり彼もフィンランドの血をかなりの濃度で引いていることがわかった。もちろん明るい性格には変わりは無いのだが、ラテン系の意味のない明るさ(偏見ではない。念のため。)ではなく、お酒を飲んではじける時とそれ以外の必要な事以外はあまり口にしない無口な一面がかなりはっきりとあるような気がする。
そしてこの落差の大きさと言うのはフィンランド人の持つもう一つの特徴の一つで、これは夏は日が沈まず、冬は太陽が昇らないと言う極端かつ先天的なフィンランドの気候とも決して無関係ではないような気がしている。冬の無口ぶりと夏のはじけぶりもまた僕には決して同一国民とは思えない...。


2.フィンランド人はシャイである。

これはどうだろう。これはヘルシンキエリアの成人にはあまり当てはまらなくなっているかもしれない。大学などではとても積極的な学生も良く見るし。
これが顕著なのは10代の特に女の子に多いように思う。特に外国人に対して違和感を感じているらしく、まず仲良くなれることはない。子供などは特にそうで、こっちがにっこり笑ってフィンランド語で話しかけたとしてもなつくことはまずない。まあ、逆に日本の子供だって同じようなものだろうけれど。
あとちょっとヘルシンキを離れると、この傾向は大人子供を問わず非常に強い。さすがに大人は逃げてしまうようなところは無いけれども、英語はあまり通じないことも多いので、笑ってごまかされたり。この笑ってごまかす、また照れがある時に意味もなく笑顔を浮かべるのは日本人だけではないということだ。


3.フィンランド人は一度心が通じると一生の友達になる。

フィンランド人にホームパーティーに呼ばれるようになったら、もうその人はそのフィンランド人に心を許されている証拠である。そうなるともうそのフィンランド人とは一生の友達になる可能性は高い。ただし、フィンランド人はあまりマメではないのでこっちからも連絡をとり続ける必要があるが...。
まあ根っこの部分ではシャイと言うか他人に対してガードが高いので、一度心を許した友達は大切にする傾向はあるようだ。ちなみにこうした感覚は僕の友達感ともスルドく一致するので、僕もフィンランド人の友達は大切にしたい。
ちなみにまたヤリの話で恐縮であるが、彼は非常に社交的で友好関係もとても広いのだが、一度彼のパーティーに一緒に招待された子がその友達も一緒に連れてこようとしたら嫌な顔をしたことがあった。会場も大きかったし、彼の性格から言えばウェルカムと言うかと思ったのに意外だった。やはり知らない人にはかなりガードが堅いというのは本当のようだ。


4.フィンランド人は正直である。

留学で来る前に、以前生活していたことがある人に忠告されたことがあった。曰く、フィンランド人は常に本音で行動しているので、意志表示ははっきりした方がいい、と。まあ、それはフィンランドに限った話ではないかもしれないけれど、日本人は無意識のうちに矛盾した言葉使いをすることが多い。つまり「社交辞令」である。
行きたくない飲み会に誘われた時でも、その場では「行けたら行きます」というような言葉で濁して実際には行かなかった、という経験はないだろうか。日本には「察する」という文化があるので、「たぶん来ないな」などとその場で予測を立てたりするけれど、フィンランドでこれをやるとアウトである。招待されても行けない時ははっきり「行けない」と言わないと、フィンランド人はいつまでも待ち続けて、裏切られたという感情を持ってしまうらしい。そのため、はずみで「行く」と言ってしまったときは責任を持って行くことにしている(笑)。


そんなところだろうか。少なくとも僕のフィンランド人に抱いていた、
「静かで、控えめで、平和的で、シャイで、親切で、自然と共に生きている民族」という
イメージは幸いにも大きく崩されることなくまだ守られている。先日あるエピソードを読んだ。

「夏休みに旅行して,『たくさんの人に出会えて楽しかった』と言うのがドイツ人.『誰とも会わなくて楽しかった』と言うのがフィンランド人」

「理想の夏休みは,半径20km以内に人がいないところでのんびり過ごすこと」


大きくうなずいた。