志木市で進んでおりましたDECO(U邸)が本日引き渡しを終え、その後の内覧会も無事終了しました。内覧会の開催にあたっては、このブログでは告知せず、過去の参加者などに直接ご案内をお送りさせて頂きました。

シンプルなスクエアプランによる木造住宅でしたが、屋根架構を45度に振ることで2階の空間に変化が生まれ、ハイサイドライトからの採光と、窓からの眺望が効果を生んだ住宅でした。

本日のオープンハウスの前に、木曜日にプレ見学会を実施したのですが、熱心な同業者はほとんどそちらにお越しくださったため、本日はむしろ内輪の近しい人にのんびりとご見学を頂くことができました。

また11月頃に竣工撮影を予定しているので、またメインカットはその際にお披露目したいと思います。まずはご来場下さった皆様ありがとうございました。

またクライアントのUさん、あらためてご竣工おめでとうございます!温厚なご主人とチャーミングな奥様のお人柄にいつも癒やされておりました。DECOの空間はUさんご家族そのものだなと思います。同じ志木市民としても、末永くお付き合いをお願い致します!



一昨日、昨日と開催しました「路地の家」のオープンハウスでは大変多くの方々にお越し頂きました。まずは足をお運び下さった皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。

「路地の家」では細い路地に生まれた小さなオープンスペースを活かした開放的な作りにすること、またただ収容量があるだけでなく、見て楽しめる”見せる書架”としての本棚を作るというのが、クライアントから求められた二つの大きなご要望でした。


前者の路地に開放的な作りにするという点に於いてはプランニングが、後者の見せる書架にあたっては、安全かつ機能的に出し入れが出来るという点に於いて、美観と高い技術的解決とがそれぞれ求められました。

北側玄関側のファサードは、ストイックな切妻屋根とガラス窓、そして玄関扉だけがあります。対照的に、南側路地には大きく開かれ、上部に小さな小窓がアクセントのように付いています。



通常ファサードというものは意図的に作る部分と、”そうなってしまった”部分とがありますが、この住宅のファサードはかなり意識的に、意図的に作られています。

うちの事務所はなぜかグラフィックデザイナーのクライアントが多いのですが、この方達はまず例外なく線の美しさにこだわり、理屈をこねる前に手が動き、こういうものが良いということを直感的に導かれる傾向があるような気がします。

グラフィックデザインで言えば、ある意味窓位置は”文字組み”であり、その大きさは”フォントの級数”みたいなものです。それらが溶け合い、違和感なく”気持ちよい”と感じる状態に落ち着くことが、住まう方の空間の気持ち良さにもつながるような気がします。

前述のグラフィックデザイナーのクライアントが多いという理由は、きっと私自身、とても”グラフィックにうるさい(=めんどくさい?)”人間であるということとも無関係ではないかもしれません笑




リビングの建具を開け放つと、外部と大きくつながります。更に木製の門扉も開け放てば、路地空間とも一体でつながります。オープンハウス時は最高の天気に恵まれましたので、この気持ちよいつながりを皆さんに体感して頂けて良かったです。

リビングは敷地の高低差を利用して床をスキップさせ、玄関側より360mm床を下げています。そのことと併せ、階高を通常より高めの2,910mmにすることで、リビングの天井高を3.2mまで確保しています。

いわゆるこうした住宅密集地で、住宅のリビングを1階に設けると、光が入らず暗く陰鬱な感じになることがありますが、この住宅では開口部を大きく取ったことや、天井を可能な限り高くしたことで、1階であっても明るく開放的な作りにすることが出来たと思います。



一方の書架には、昨日のオープンハウスではクライアント自ら、ご自身のこれまでのお仕事の一部を展示下さいました。これが入ったことで、俄然この空間が引き締まりました。こうしたお仕事を巡っての思考についてもお話が伺えて、とても楽しかったです。



そしてこれがいよいよ目玉の”見せる書架”です。これについては、写真ではなかなか説明しきれないので、以下に動画をアップします。是非こちらで見てみて下さい。

【床パネル開閉動画】

本棚全景(上から)
本棚全景(下から)
可動パネル機構(上から)
可動パネル機構(下から)
パネルを固定する



30~40kgにもなる床パネルの上げ下げには、ガスダンパーという機構を使っています。車のハッチバックなどに使われている機構で、建築に使われることは少ないのですが、今回この機構に出会ったことで、ようやくアイデアが実現に向けて動き始めました。最初に言い出したクライアントですら、本当に実現したことに驚かれていたほどです笑

機構の調整にあたっては、メーカーのスガツネさんにも多大な技術協力を頂きました。こちらもこの場をお借りして御礼申し上げます。



個人的には、この最上部に設けた小部屋が気に入っています。

こういう部屋って、意味もなくワクワクしますよね。色使いにもちょっと遊びを入れたりして、小さなお子さんがいるお宅だと、こういう所で想像力が育まれるような気がします。


あとは随所のこんなスイッチや小物、引手などにも反応された方がいっぱいいらっしゃいました。こういう部分は、我々の趣味というよりはクライアントのご趣味に委ねている部分です。今回こうしたアンティーク系のものがお好きな方でしたので、自由に選んで頂き現場に取り付けて頂きました。

家づくりでは、こういうちょっとしたスパイスの部分もとても重要だと常々感じています。



今回の住宅は、去年入社したばかりの新人・砂庭さんに担当してもらいました。私ですら腰が引けるほどの難しい住宅でしたが、既に退所した山口くんのサポートなども借りながら、最後まで立派に務めあげてくれました。上の写真は、見学にいらして下さった建築家の伊礼智さんに労いの言葉をかけて頂いているところです。

彼女は大学の卒業設計に、こうした街に開かれた住宅のあり方をテーマに選んでいましたので、彼女にとっても建築の理想と現実について学ぶ良い機会になったことと思います。けれども、一方では学生が思い描いた夢物語も、しっかり積み上げてゆけば実際にもちゃんとできるのだ、ということも学んでもらえたかなと思っています。


最後に、今回の素晴らしいお仕事の機会を下さいましたクライアントのOさんには心より感謝しております。最後までドキドキしながら現場監理をしていましたが、最後に心から喜んで下さったことが何よりでした。いつもこの瞬間のために仕事をしていると思える瞬間です。

最後に記念写真をパチリ!
関係者の皆さま、お疲れさまでした。


「路地の家」が間もなく竣工します。三層吹き抜けの本棚はこの住宅の特徴の一つですが、この住宅で最も重要なのは、タイトルが示すように住宅と路地との関係です。

「住宅を街に向かって開く」などというのは建築家の机上の空論、市街地においてはもはや幻想に近いことと思われるかもしれませんが、この仕事を続けていると、こうした考えを実現できる機会は巡ってくるものです。

街を住宅の一部に取り込むということはどういうことか、住宅と街との関係を深く考える機会を頂きました。


敷地には2面の道路があり、特に南側はすれ違うのもやっとな細い路地に面しています。路地は建替えの際に道路中心線より2mの敷地後退が求められますが、いびつに後退したその道路空間が、有効に活用されている例を街中で見ることはほとんどありません。

本計画では住宅を路地に向かって大きく開き、向かい側の住宅の道路後退と合わせて、そこに小さな公園のような領域を作り、建主の望まれた街にひらかれた風通しの良い住宅としています。

室内は1階でありながら3.2mの天井高を確保し、装丁家であるクライアントの所有する膨大な量の書籍のために、ロフトにまで達する三層吹き抜けの本棚を設けました。本棚は安全かつ機能的に利用できるよう、可動式の床パネルを含め、様々な工夫を随所に凝らし製作されています。


【路地の家】 O邸オープンハウス(内覧会)

日時:
5月19日(金) 14:00~18:00 ごろまで
5月20日(土) 11:30~17:00 ごろまで

場所:東京都杉並区阿佐谷
(JR中央線『阿佐ヶ谷駅』より徒歩約12分)

☆建築関係者のみならず、一般の方もご見学頂けます。
☆見学の際は近隣の住宅にご配慮下さい。撮影などの際に隣家に立ち入ったり、隣家にカメラを向けたりすることのないようご注意ください。
☆一部高所で危険な部位もございます。小さいお子さんをお連れの方は、お渡しする手袋着用の上どうか手を離さずご見学下さい。建物を傷つける恐れを感じた場合は、ご退場をお願いすることもございますので、どうかご了承下さい。


見学ご希望の方にはご案内をお送り致します。
関本までメール下さい。


本日「光井戸の家」の内覧会を行いました。

え、誘われてないよ?という方はゴメンナサイ。今回はごく限られた関係者のみの公開とさせて頂きました。その数わずか8名。この小空間を味わって頂くには丁度良い公開範囲だったかもしれません。オープンじゃないので”オープンハウス”ではなく、内覧会とさせて頂きました。

最近ではオープンな告知にすると100名近い方がいらして下さることもあり、我々としては嬉しい反面、内覧者にとっては落ち着いて見れない一因になることがあります。また我々もコントロールしきれず、対応が手薄になったり、近隣にご迷惑をおかけしてしまうことも。

今後も建物の規模に応じて、適切に内覧会を行いたいと思います。

今回はごく近しい人をお呼びしたので、開始時間の13時頃にいらして、終了時間の16時近くまでほとんど誰も帰らないという笑、のんびりとした会になりました。内部の写真や外観は、また後日撮影してアップしたいと思います。

クライアントのご協力とご厚意に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました!


先週末、新座市で進めて参りました「大和田の家」のオープンハウスがありました。

大和田の家は計画から竣工までおよそ2年を費やしました。2年と聞くととても長いとお感じになるかもしれませんが、実際には計画は段取りよく順調に進められました。

整理すべき事が山ほどあったので、結局設計だけで1年を費やしましたが、おそらく建て主側はもっと時間がかかることも、当初覚悟されていたのではないかと思います。

本計画はお寺の庫裏になります。庫裏というのはお坊さんのお住まいのことで、お寺の付属施設という位置付けになります。経緯を話すと長くなるので省きますが、実際には計画が始まるまで10年近くの準備期間がありましたので、実際には構想から完成まで12年くらいはかかったことになります。




庫裏といっても、実質的にその機能は住宅と何ら違いはありません。お寺の施設ということで、当初私は”和風建築”が求められるなら自分にはできないと思っていたのですが、ご住職側は形式的なことに囚われない革新的なお考えをお持ちでしたので、我々の計画はとても自由にやらせて頂きました。むしろご住職側もそれを望み、楽しまれていたように思います。


外壁にはガルバリウム鋼板の横葺きを採用しています。お寺の施設にガルバリウムとはずいぶん思い切ったことをしたものだと思われるかもしれませんが、ご住職を含め我々も何ら抵抗はありませんでした。お寺という悠久の時間を生きる施設は、その時代の知恵と技術を結集してつくるべきだと思うからです。

ですが実際には、この横葺きはただの横葺きではありません。私が今持っているすべての経験とノウハウを投入して、ほぼ完璧に近い仕上がりとなったと考えています。手掛けてくれたのは日本一の板金職人、新井勇司さん。その卓越した仕上がりは、誰でも知っている、でもおそらく誰にも真似のできない仕上げかもしれません。




住宅の中心に据わるリビングには、高い吹き抜けを設けて自然光をのびのびと取り込んでいます。

随所の仕上げや設えは、正統的なリオタデザイン仕様。カーブもシュートも使わない、まさに直球ど真ん中といったところです。その精度を極限まで高め、我ながら完成度の高いものになったと思います。

大工工事は過去にDONUTも手掛けてくれた新井棟梁で、家具と建具は新潟の藤沢木工所さんが担当してくださいました。請負は堀尾建設、監督はリオタデザインの仕事を知り尽くした陸名勝尋さんです。


今回個人的に気に入っている子供部屋のロフトです。

これまで子供部屋は最小限サイズでやってきましたが、面積に余裕があるときはこんな作りも楽しいですね。家の中にいて一人暮らしができると思いました笑



またこちらも普通の住宅ではなかなかできない広い和室、仏壇を安置するお部屋です。この辺が唯一の庫裏らしい設えの部分かもしれません。

廊下の突き当たりには、客殿側へと抜ける裏出口があり、下部に切った窓からは中庭の造園を楽しむことができます。



そして外構工事には耕水の湊さんに入って頂きました。これまで湊さんとのお付き合いは長いのですが、今回は過去最大規模となります。

今回の湊さんのお仕事には正直鳥肌が立ちました。ボリュームが大きく、敷地に対してやや唐突なあり方であった建物が、湊さんの造園によって見事に着地することができたと考えています。



常日頃思うことですが、建築工事の方がはるかに工費も工期も大きく長いのですが、最後の仕上がりのウェイトは、皮肉なことに建築と造園はイコールになります。そのくらい、造園の持つ力は大きいと湊さんとの仕事ではいつも思わされます。

湊さんとの出会いがこういう仕事に結びついたことを、心から嬉しく思います。



オープンハウスには遠路はるばるいらして下さった方もおり盛況でした。幸い天気も良く、お庭も含めて楽しんでいただくには絶好の日和だったと思います。

中でも、先週引き渡したばかりのTOPWATERのクライアントまでいらしたのにはびっくりでしたが笑。同業の設計者からもいろいろな貴重なご意見を頂けて大変励みになりました。足を運んで下さった皆様、本当にありがとうございました。


前述の通り、今回の仕事には大変な時間と手間が投入されました。

工期には実に11ヶ月を費やしました。これはちょっとした集合住宅を作るような工事期間です。ところがそこに使われた素材は宮殿を作るようなものではけしてなく、シナベニヤや板金といったローコスト素材ばかりです。おそらく市井の住宅と同じか、もしかしたらそれよりも安いものばかりを使って建てられているのではないかと思います。

それを人の手仕事によって、途方もない手間をかけて作りました。我々も、最高のおもてなしの心で図面を引きました。建築にとって、私はこれ以上贅沢で豊かなことはないのではないかと思います。

そしてそれこそが現代の庫裏として最も相応しいあり方なのではないかと、作り終えた今しみじみと実感するのです。千年を越える歴史を持つこのお寺の、この時代最高の庫裏が作れたのではないかと思います。

計画を通して、普段は触れることのないご住職やその奥様の日常やお考えに触れ、とても勉強になりました。また私にとって”ドリームチーム”とも呼べるような最高の職人さん方と協働できたことも、かけがえのない経験でした。

関係者の皆さまには、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
本当にお疲れさまでした!

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