昨日は非常勤を勤める日大2年生の全体講評会がありました。課題は「サードプレイス」。自宅でも、職場でもない、第三の場所(カフェなど)を作るというもの。うちのクラスからも2名を選出し、他のクラスの先生方にも講評をして頂きました。まさに”まな板の上の鯉”状態です。
まだ2年生ということで、発表の学生達も論理も破綻していたり、表現やプレゼンもまだまだな側面もあるのですが、企業に例えればまだ上場前のベンチャー企業のようでもあり、その奥底にマグマを蓄え、ちょっとしたきっかけで噴火してゆきそうな、そんなエネルギーを大いに感じました。
一方では、私の2年生の時などに比べれば、比較にならないくらいレベルの高い作品ばかりです。私も偉そうな顔でクリティックなどしていますが、本当は手放しですべて褒めちぎりたいくらいです。
最後には、各班の発表作品の中から優秀作品が2点選出され、来年の優秀作品集や夏のスーパージュリーへとエントリーされます。うちの班の学生は残念ながら選からは漏れてしまいましたが、この日の発表のために仕上げてきた作品はとても素晴らしく、次の第2課題でも期待が持てそうです。
次の第2課題はいよいよ「住宅」。大学2年生の通過儀礼であり、彼らにとっては最初で最後の住宅設計となる者も多くいることでしょう(高学年になると、美術館や地域センターなど公共建築の設計がメインとなります)。
私は住宅設計のスペシャリストですから、彼らにはより濃密に住宅設計の奥深さについて教えたいと思っています。ただ一方で、特定のクライアントを想定しない大学課題の住宅は、ある意味”住宅”ではないとも言えます。教え方に悩むところです。
昨日は放課後に残った学生を相手に、住宅の設計アプローチについて簡単なレクチャーをしました。私にとっては、こうして放課後に学生と触れあう時間が何よりも楽しく、濃密な時間が昨夜も過ぎていったのでした。リアルな設計の話が聞きたい学生は、放課後関本クラスに来ると、いいことあるかもよ!?
先週からはじまった大学の非常勤。関本クラスはお約束通り、いつもダントツのびりっけつ。定時になってもエスキスが終わりません。
迷える子羊たちはこう言うのです。プランが決まらないと。形が浮かばないと。どれどれと覗けば、メモ帳の片隅に、画用紙の裏側に、それさっき描いたでしょ?というようなテキトーな図面。スケールは無視。敷地線もなし。ちなみにそのテーブル直径5mはありますけど?
あのねえ。
これまで通算100軒くらいのプランをまとめてきたプロの私でも、ひとつのプラン考えるのにウンウン唸って3日とか1週間はかかるの。わかる?その間に何枚も、何十枚もエスキスするわけ。わかる?
それが、2年生の君たちが1時間くらい悩んで「できない」って、何それ。建築なめんな。
という話をしているから終わらない。
ほんと、建築なめんなって思うんだよね。
遅くまでやってると、昔教えていた学生がいろいろ会いに来てくれる。今日はM1の学生からニューヨークのお土産をもらいました。ぶんちゃんありがとう!
来期より母校である日大理工の非常勤講師に2年ぶりに復帰します。同じタイミングで着任となるのは同期の仲條さん(同期って言うと歳がバレると怒られるのですが…)、そして竹中の関谷さんとも実は同期になります。写真は同級生トリオということで。
私が初めて着任したのは今から8年前のことで、一昨年まで任期を6年務めさせて頂きました。着任当時は私も36で、講師陣の中でも最年少でしたが、今では半数くらいは同じか歳下になるのかもしれません(もっとも私よりも活躍されている方ばかりですが)。
時間を感じるといえば、私にとって初めての教え子だった加藤さんが助手になっていたり、当時助手だった長谷川さんと非常勤としてご一緒することになったり、はたまた同じく再任組の田井さんと顔を合わせたり、私よりも後に着任された先生を今度は見送る立場になったりと、時制入り乱れての感慨もありました。
今日も「ベテラン」と紹介されてしまいましたが、講師は何年やってもちっとも慣れませんし、全然うまくいきません。専任の先生は本当にすごいと思います。
でもごく一部の学生とは信頼関係が結ばれ、人間同士のお付き合いが今でも続いていることにやりがいと誇りを感じます。関係者の皆さま、引き続きの任期、ご指導をよろしくお願い致します。
学生ってある意味義理堅いなと思うのは、過去に半期教わっただけの先生のところに、いまだにエスキース(設計指導)にやってくるということ。もう非常勤は1年以上前に退任したというのに。
学校では一人10分くらいのエスキースが、うちでは4時間コースになるわけですが、これはわざわざ足を運んだ子へのご褒美みたいなものでしょうか。もっともエスキースは1時間、あとはずっと脱線話でしたが…。
でもこういう話を、きっと彼らはずっと覚えているものなのかもしれませんね。
山形から来ていた学生Sさんの,のべ8日間に及ぶオープンデスクが昨日終了しました.同時に我々も今日から束の間の夏休みに突入です.
以前も書いたように,今年のオープンデスクは現場からクライアントの打合せに至るまで同席させ,住宅が作られてゆくリアルな空気を学んでもらいました.
この短い期間で彼女は,それぞれ別々のプロジェクトではありますが,『設計打合せ→見積調整→基礎工事→木工事→竣工検査→オープンハウス』とほぼ全工程に立ち会ったことになります.これは本来設計事務所に入って,1年以上実務を経なければ体験できないことです.
加えて彼女にはその前段階のプロセス,現在進行中のとある住宅の要望書を渡し,プランニングから立案という作業も行ってもらいました.
スタッフのデスクは現在満席のため,彼女の定位置はミーティングデスクの隅っこ.毎日現場とこのデスクを往復し,時に現場ではリアルなスケールを採寸し,夕方には私の指導を受けるという日々でした.
そして昨晩は最終案の発表と講評会.
スタッフからは容赦ないツッコミが飛びました.けれどもどうしてどうして.これは彼女の案がようやく我々の批評に載るレベルに達したということを意味しているのです.(前日は宿泊先で明け方まで作業していたようです)
彼女には特別に(門外不出?)私のエスキーステクニックからプランニング手法に至るまで,余すところなく伝授しました.最初はシングルラインで頼りなかった彼女のプランニング(この時点ではまだお施主さんの描く間取り図レベル)は,みるみる変貌し,日々バージョンアップを繰り返してゆきました.もちろんまだまだなところはいっぱいあるのですが,一週間でここまで人は成長できるのだということに,正直私も感動を覚えました.
初日に渡した新品のエスキース帳は,最終日には1冊とはいきませんが半分以上は使われていたでしょうか.この一週間で彼女が作成したプランは計8案.スタディを含めると10案以上は考えたのではないでしょうか.実のところこれが私が最もやらせたかったことなのです.
大学の課題では,ひと課題につき2ヶ月以上を費やして設計指導をします.けれども学生の図面がようやく図面らしくなるのは最後の1~2週間がやっとというところです.
けれども我々はそんな悠長な仕事はしていられない.時間を惜しんで集中すれば,わずか1週間で8案も作れるということ.千本ノックのように手先を動かせば,それが頭と連動して空間が肉体化するということ.そしてそれが自信となり,最後に揺るぎないプレゼンができるのだということ.
それを経験してもらえたことは,今後の糧にもなるはず.一度できたことは,次からもできるはずだからです.大学の課題も,出題から最初の一週間でここまでできれば,きっとライバルには大きな差を付けられるでしょうね.
「もう一度2年生に戻って,住宅課題をやり直したい!」
そういう彼女には,少しは住宅設計の面白さがわかってもらえたかもしれません.今日は東京見学をして帰るそうです.どうか楽しんでいって下さい.今後の活躍を楽しみにしています!
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