TOKIO通信

2001/11/14
Vol. 062

"切り札"


 
フィンランドで以前一緒に仕事をしたフィンランド人の福祉関係者らが来日しており、今日は夕方よりカフェ・モイ[moi]へと案内した。こう書くと僕は四六時中フィンランド人と東京で会っているように聞こえるが実際そうかもしれない。

今日はフィンランド人が4人ほど。半分以上は初対面の人だった。フィンランド人の場合、初対面だとなかなか心を開いてくれない。そしてすぐに話題に詰まり気まずくなる。
僕はそんな時、それこそお約束のように使うある”切り札”がある。いままでこれ一つだけでフィンランド時代から修羅場(?)を切り抜けてきた。そして全戦全勝、外したことのない必殺技である。(こう書くとなんかイヤらしいなあ)

「ところで日本語とフィンランド語は良く似ているよね」
>例外なく皆深く頷く

「そうだな例えば、ヨコハマ・フマフターン」
>どっ、とここで爆笑。つかみはOK

このヨコハマ(ヨコ・ハンマ)・フマフターンというフィンランド語、スペルはいまいち良く知らない。意味は「私はあなたをすでに殴りましたか?」というめちゃくちゃなものなのだけれど、フィンランド人では知らない人はいないというくらい有名なジョーク。ただ「ヨコ・ハンマ」が日本の都市「横浜」に似ている、というだけがオチで、日本人にはどこが面白いのかさっぱりわからないのだが、とにかくこれを言っておけばつかみはOK。テーブルの下でガッツポーズを決めておこう。

「あとはそうだな、アラ・ラヘタ・タタ・タナーン」
>どっかーん!もうフィンランド人の心はわしづかみ

この「アラ・ラヘタ・タタ・タナーン」の意味は「これは今日送らないで下さい」というこれまたワケわからないものだが、口に出してみるとわかるようになんだか早口言葉のような面白い響きがあって一度覚えると忘れない。フィンランド語のレッスンの初日に例文で出てきたものだが、先生が何度も繰り返すそのフレーズの響きがおかしくて、授業中笑いをこらえていたものである。

緊張がほぐれてくるとフィンランド人は急に饒舌になるので、あとはウンウンと相づちを打っておけばよい。いや、こう書くとなんだかやっつけ仕事みたいに聞こえるかなあ。いやこれはフィンランド語を話せず、英語も得意ではないという致命的欠陥を背負った僕が僕なりにフィンランドで生きるために覚えた処世術なんですが。言葉なんてろくに知らなくても、いくらでもフィンランド人とは仲良くなれるという、そういうお話。

 




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